薬食同次元

はちみつのこと

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皆さま、梅雨のじめじめした雨の日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。

今月から、生薬ブログの「薬食同次元」を担当させていただくことになりました。子どものころから食べることが大好き、おいしいものには目がありません。

日々の暮らしの中で出会う、おいしく楽しい出来事を、皆さまにありのままにお届けできますように、研鑽して参りたいと思います。


さて、初回の7月は「はちみつ」について書かせていただきたいと思います。はちみつは、弊社には縁の深い大切なもので、当ブログの中で何度か触れられてきました。

御嶽山六合半小屋の"ハチミツ水"を覚えていますか?

https://hino-seiyaku.com/blog_crude_drug/food/post_7.php

はじめてのハチミツ採取現場見学

https://hino-seiyaku.com/blog_crude_drug/food/post_15.php


先日、とある方から「ひとさじのはちみつ 自然がくれた家庭医薬品の知恵」、及びその続編である「はちみつ日和」(いずれも前田京子氏著)という本をいただく機会がありました。

はちみつは、古くから医療用に使われており、栄養分が豊かで、最近その成分と作用が新たな注目を浴びているそうです。


筆者の方が紹介されるはちみつの様々な用途に、新鮮な驚きと興味を覚えながら読み進めましたが、印象に残りましたことが二つありました。


一つは、中国の明朝時代の薬学書「本草綱目」や古代エジプトの「エベルスの医学パピルス」、古代インドの聖典「ヴェーダ」などに、はちみつのことが書かれ、古くから人々の暮らしの知恵としてはちみつが使われてきたということです。日本でも「日本薬局方」(医薬品の性状及び品質の適正を図るため、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定めた医薬品の規格基準書)に、はちみつが掲載されています。この機会に日本薬局方を改めて紐解いてみますと、はちみつは、「医薬品各条」の「生薬等」の部分に記載されていることが分かります。


<第十七改正日本薬局方 抜粋>

ハチミツ

Honey

MEL

蜂蜜


本品はヨーロッパミツバチApis mellifera Linné又はトウヨウミツバチApis cerana Fabricius (Apidae)がその巣に集めた甘味物を採集したものである.

生薬の性状 本品は淡黄色~淡黄褐色のシロップ様の液で,通例,透明であるが,しばしば結晶を生じて不透明となる. 本品は特異なにおいがあり,味は甘い.


現在、医療用はちみつは「メディカルハニー」と呼ばれ、精製、加糖、加熱などの加工が施されていない生のはちみつが、世界の国々で臨床及び研究対象として見直されているそうです。生薬の仲間であるはちみつは、自然の恵みそのものであり、その奥深さ、そしてそれを活用して暮らしてきた先人の豊かな知恵を改めて感じる機会となりました。


そしてもう一つ印象に残ったのは、一匹の蜂がその一生の中で集めるはちみつの量は、小さじ1杯程度であるということです。日々何気なくいただいているはちみつが、そんなに貴重なものとは!これからもっと大切に食べていこうと思いました。


さて、本を読み終わった頃には、はちみつを食べたい気持ちがもくもくと湧き、我が家に常備している「信州アカシアはちみつ」を味わって食べてみることにしました。これまでも味わっていたつもりではありますが、口に含み、様々なところに行きわたらせ、香りを感じることまで出来ていなかったような気がしています。大さじ一杯をゆっくり食べてみると、豊かな花の香りと、滋味深さ、とろりとした自然な甘味が、何とも心地よく、やはりはちみつは良いなぁと感じました。身体に活力が染み渡るような感覚も覚えました。これからも折に触れ、はちみつを食べていこうと思います。


早速、昨日の日曜日の朝の食卓では、フレンチトーストに信州アカシアはちみつをたっぷりかけていただきました。フレンチトーストは子どもの頃、週末に母が作ってくれた思い出の味でもあります。表面はバターの焦げ目でかりかりとし、中はふんわり優しい卵の味のするフレンチトーストに、アカシアはちみつのすっきりとした丸みのある甘さがぴったりでした。梅雨の雨の降りしきる朝が、明るく楽しい幸せなものとなったような気がします。

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文章・写真:石黒和佳子