薬食同次元
御嶽山六合半小屋の"ハチミツ水"を覚えていますか?
木曽御嶽山黒沢口六合半の「日野製薬直売所」では、かつて登拝に訪れる方々に "ハチミツ水"を振る舞っていました。
黒沢口千本松の駐車場から山道を登り始め、約45分で六合半の「日野製薬直売所」の小屋にたどり着きますが、小屋の直ぐ下が急勾配の坂道だったこともあり、湯飲み茶碗に注いだ"ハチミツ水"を差し上げると、「生き返るようだ、有難い」と、たいそう喜ばれたものです。
御嶽講の恵みの一椀
"ハチミツ水"は、一斗缶に入っているハチミツを柄杓でくみ上げ、大きな薬缶に移し、御嶽山六合半小屋の清水を注ぎ入れて適度な甘さに調製しただけの簡単なものでしたが、登山道を「六根清浄、御山快晴(ろっこんしょうじょう、おんやまかいせい)」と唱えながら登ってこられた御嶽講の方々にとっては、恵みの一椀であったと思います。
六合半の小屋「日野製薬直売所」
六合半の「日野製薬直売所」は、昭和30年代から50年代まで営業をしており、その間ずっとこの"ハチミツ水"を振る舞っていましたが、ロープウェー開通により、六合半まで山道を登ってくる人もいなくなり、小屋の営業休止に伴い、"ハチミツ水"を振る舞うこともなくなりました。
江戸時代後期から続く御嶽講は、登拝の際に「まねき」と称する布製の小旗を旅籠や茶店に持ってこられ、六合半の「日野製薬直売所」の小屋では、この「まねき」を軒先に吊り下げて"ハチミツ水"とともに、各講社の方々をお招きしたものでした。
"ハチミツ水"を覚えていますか?
あの頃のことを覚えていらっしゃいますでしょうか。
思い出したり、何かエピソード等々ありましたらお寄せいただければ幸いです。
"ハチミツ水"の考案者は、亡伯母「大口文恵」です。「三尾のおばさん」と呼ばれ親しまれ、今でも「日野製薬直売所」で働いていた頃の亡伯母のことを語って下さる方がいます。とても嬉しく思っています。
ハチミツは食品としてだけでなく、世界各地において太古より用いられてきたお薬でもあります。
日本薬局方の適用の欄には、配合剤の甘味料、丸剤の結合剤として又滋養強壮の目的にも用いられると記載されています。