薬食同次元
2022年キハダ植樹
山々の緑の色が深さを増し、紺碧の空に映え、大変美しい日々です。
2022年5月、日野製薬ではキハダの植樹を行いました。今年は5月20日、5月23日と2回の植樹を行いました。本ブログでは5月20日の植樹についてご報告します。(5月23日はこちら)
5月20日に、やぶはら高原スキー場のゲレンデ跡地で、地域の行政、団体、企業、弊社社員を含む総勢34名で、キハダを900本植樹しました。キハダの周皮を除いた樹皮は、百草・百草丸の主成分の生薬オウバクです。弊社では木曽の豊かな自然の中で育まれたキハダを用いて将来の薬づくりを行うことを目指し、キハダの植樹に取り組んでいます。やぶはら高原スキー場のゲレンデ跡地に植樹するのは、今年が2年目です。昨年の継続として、改めて多くの方々のご支援・ご協力をいただき実現に至りました。
5月20日の天候は、晴れ間の見える曇りでした。急斜面での厳しい作業には、調度よいお天気です。早朝8時から開会式を行い、4班に分かれて植樹に取り組みました。最初に各班に所属する専門家の方からキハダの植樹方法を教えていただきました。初心者向けの方法で「丁寧植え」と呼ばれるそうです。ステップ5がポイントとのことでした。
<キハダ植樹方法>
1. 土の表面から枯草などの地被物を取り除く
2. キハダ苗木の根の長さより2cmほど深く穴を掘る
根の上2cm程度まで土がかぶるようにするため。穴を掘る際、石など根の伸長を防ぐものは取り除く
3. キハダ苗木を穴に植える
根が上から下へ向かうように極力整える。下から上へ向くと根をはることができず育ちにくいため
4. きれいな土をかぶせる
枯草などの混ざらないきれいな土を根の周りにかぶせる。枯草が混ざっていると根の周りに隙間が出来て育ちにくいため
5. 根の周りを踏む
苗木の先端を持ち、根の周りを足で踏みつける。土をしっかり固めるため。50kg程度の重量で踏むのが適当
6. 苗木の先端を持って抜けないことを確認する
ここで抜けたりぐらぐらしなければしっかり土の中に固められている
7. 枯草を土の上にかぶせる
枯草を「布団」のようにかぶせる。保温・保水、そして肥料にもなる
専門家の先生に教えていただいたこれらの要領で植え始めました。しかし、急な斜面での作業です。枯草が多く登るのにも足元が滑り一苦労です。そして場所によっては、石が出て来て、中々穴を掘ることができません。息を切らしながら、穴を掘り、石をどけて、また穴を掘り、を繰り返し、苗木を植えました。単純計算でも一人20本程度は植えないと、900本には至りません。皆で一本、また一本と、少しずつ作業を進めていきました。
キハダの成長には25年の歳月を要します。キハダの植樹は、キハダの成長に大きな影響を及ぼします人間や動物は与えられた環境が合わなければ移動することもできますが、木は植えられた場所で生きなくてはなりません。長年の歳月をかけて成長するのであれば、植える人間が少々疲れたからといっておざなりに植えてはならない、と、皆で丁寧に一本、一本植えていきました。
各班、下から植え始めて上に徐々に移動し、最終的には斜面の頂点に集まりました。「苗木まだある?」「一本ならあるよ」と言いながら、お互いに苗木を渡し合い、最後の苗木一本まで植えました。そして11時過ぎに終了しました。予定よりも早く終えることができました。
誰彼となく、皆でその場に座って休憩することになりました。斜面の上は風が心地よく、山々の緑や木々、そして谷合いの風景も良く見えました。作業中の苦しそうな表情はなくなり、皆とてもニコニコしていました。植樹が無事できたことの達成感、安堵感を、皆で共有していたような気がします。ここで、皆で記念写真を撮りました。そして、植えたキハダの様子を確認しながら、斜面を下り解散となりました。
今年日野製薬は、創立75周年を迎えます。75周年もの長い歳月に亘り社業を継続していることは、何よりも皆様のお陰と心より感謝しております。この節目の年に、多くの方々のご協力により無事にキハダ植樹ができましたこと、大変有難く感じております。キハダの植樹は、私どもの将来の薬づくりに大切な事業の一つです。これを沢山の方々のお力添えで実現できましたことに感謝し、今後とも皆様のご健康長寿に寄与する良い薬づくりを目指し、未来への新たな一歩を踏み出してまいりたいと存じます。