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薬草の花

イケマ(牛皮消)【7月】

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魅力的な花。食べると有毒

(写真①:ゴルフボールよりひと回り大きめの球形散形花序。品良く美しい)

ガガイモ科のつる性植物で、県内に広く分布する。日当たりのよい林縁にはびこり、葉は整ったハート型でよく目立つ。茎や葉を切ると、白い乳汁が出る。初夏に白い球形の散形花序を咲かせる。花序を近接撮影した写真を見るとブローチにでもしたくなるほど魅力的な花である。秋に扁平な種子は絹糸状の冠毛を多数つけ、成熟して果実が裂けると空中を漂う。


全草に強心配糖体のシナンコトキシンという毒素が含まれ、食べると痙攣、よだれ、嘔吐を起こす有毒植物である。しかし、マダラチョウ科のアサギマダラの幼虫はこの葉を食べて育つ。同じ遺伝子構造を持った昆虫と人が、片や食料になり、片や毒草あるいは薬草になる生物界の多様性に驚く。ところで、アサギマダラは秋に沖縄付近まで渡りをすることで知られ、さらに夏の高原では、ヒョウモンチョウ類を除く他のチョウはあまり寄り付かないヨツバヒヨドリやフジバカマの花に止まって吸蜜をする不思議なチョウである。



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(写真②:実は熟すと割れはじけ、綿毛付きの種子が舞い散る)

イケマの著しく肥大した根茎を日陰干ししたものが「牛皮消根(ごひしょうこん)」で、強心、利尿作用を持つとされるが、現在はあまり利用されない。ちなみに、イケマとはアイヌ語で「それ(=神)の足」と訳され、「大きな根」を意味する。日本語では「生馬」の字をあてて、馬の万病薬とする向きがあるが、有毒であるので馬に食べさせてはならない。薬効はともかく、私達の身近でよく見掛けるので、ぜひ覚えたい植物である。



Cynanchum caudatum
ガガイモ科カモメヅル属
生薬名●牛皮消根(ごひしょうこん)
【ミニ図鑑】多年生のつる草で長さ二~三メートル以上になる。茎は折ると白い乳液が出る
▶花期 七~八月


crude_drug_220701_ikema_3.jpg(写真③:渡りをするアサギマダラ。幼虫はイケマの葉を食べる。ヨツバヒヨドリに吸蜜中)


出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


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