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薬食同次元

キハダの皮むき

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緑が一段と鮮やかに、ぐんぐんと成長の勢いを増す季節です。

6月30日に、木祖村の林道に生育していたキハダの皮むきを行いました。キハダはミカン科の落葉高木で、百草百草丸の主成分の生薬オウバクです。外側のごつごつした外皮の内側に「内皮」があり、この部分を生薬として用います。6月から7月の梅雨の時期は、木が水を吸い上げるため、内皮を一番むきやすい時です。昔は、この時期に山に入り、キハダの内皮をむいて提供する木こりの方々が沢山いたそうです。しかし、今はそういう方もいなくなり、国内産のキハダの流通量は年々減っています。それであれば、自分たちでキハダの皮むきが出来るようになりたい、と考え、専門家の方々に多くのご協力をいただき、皮むきの方法を教えていただくことになったものです。

  

朝9時に山に入りました。梅雨の合間の晴れた日です。今回皮をむくキハダは間伐材で、樹齢30年以上の大きなキハダです。枝や細い幹の皮むきを行ったことはありますが、これだけ大きな木は弊社社員にとっても初めてのことです。前日に切り倒し、横たわっているキハダの幹を1m程度の長さに切り、真ん中に筋を入れて、幹と内皮の間に道具を差し込み、幹から内皮をはがしていきました。

  

キハダが水を沢山吸い上げており、手でむけるほど、むきやすいです。むく時にシューッ、シューッと音がしました。そうして現れたキハダの内皮は、大変鮮明な黄色をしており驚きました。キハダの黄色にはいつも驚かされますが、今回のキハダは特に鮮やかなように感じました。参加者からもわぁっと歓声が上がりました。香りはあまりしませんが、内皮のかけらを噛んで見るとキハダ特有の苦みを感じます。しかし内皮を煮詰めて煮出して作る「百草」ほど苦くなく、何か新鮮なみずみずしい味わいです。内皮の表面には水分が蓄えられており、ぬるりとしていました。内皮をむく途中で、外皮もするりとむけてしまうほど、木の中を水が通っていました。生きている木の勢いのようなものを感じました。

  

むいた内皮を束ねて山から運び出す際、何か狩猟に来たような気持ちになりました。皆で山に入り、獲物をしとめて、それを担いで帰るような気持ちです。生きているキハダの命をもらうことの有難さ、それを用いて薬づくりを行うことの責任を非常に感じました。命をいただくのであれば、一本、一かけらたりとも無駄にしたくない、余すところなく薬に役立てたい、と強く思いました。

  

本社に持ち帰ったキハダには、一つ一つを識別するためのラベルをつけ、表面を軍手で丁寧に磨いて泥を落とし、乾燥棚に広げて置きました。この時期はカビが大敵です。乾燥をしっかり行っていきたいと思います。そしていつか、木祖村で育ったこのキハダを用いて作った百草、百草丸をお客様へお届けすることができますように、取り組んでいきたいと思います。

  

黄色い部分が内皮です。幹と内皮の間に道具を差し込み「てこの原理」でむいていきます

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弊社の社員も教えていただいた手順で皮むきができるようになりました

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むいた後の樹幹、内皮、外皮です

crude_drug_202105_kihada_a.JPGむいた後の内皮です

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作業は木祖村の林道の中で行いました

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皆で手分けをし皮むきをしていきます

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本社へ持ち帰った後、皮むき時についた泥を軍手で落としラベルを付け、乾燥環境で保管しました

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