薬草の花

リンドウ(竜胆)【12月】

秋の名花。根を薬用に
秋の野山に青紫色のリンドウの花はよく似合う。長野県内には、平地のリンドウのほかに、 エゾリンドウやオヤマリンドウが高原に自生する。いずれも花や茎の姿はよく似ているが、 エゾリンドウは葉の付け根に数段に亘って花がっき、花冠の裂片か平開する。 一方、 オヤマリンドウは花茎の先端にのみ花がつき、花冠の裂片は平開しない。さらに、リンドウには花冠の裂片の間に三角の小裂片があるので区別できる。また、高山には「これぞ="当薬"リンドウ」の意味で名付けられたトウヤクリンドウが咲き、その花は淡黄色で美しい。


かつては、リンドウの仲間はいずれも薬草として利用されたが、いまは一部の県で野生のものを集める程度で、その利用はあまり多くない。むしろ、青紫色の花姿が美しいため、盆花や秋の切り花として利用される。リンドウとして出荷される花の多くはエゾリンドウの栽培品で、長野県でも盛んに栽培される。


生薬名の「竜胆(りゅうたん)」は、苦い薬の代表である熊胆(くまのい)よりさらに苦い「竜の胆」という意味でつけられ、和名のリンドウは竜胆を音読みしたのである。根茎および根を竜胆といい、苦味健胃薬としてゲンチアナの代用とされ、家庭薬の原料として用いられる。漢方では健胃薬以外に消炎、解熱、利胆、利尿などの作用を期待して、漢方処方に配合される。成分はセコイリドイド配糖体で苦味質のゲンチオピクロシド、および黄色キサントン系色素のゲンチシンなどである。
crude_drug_201812_rindo_3.jpg出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
   市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)