薬草の花
キクイモ(菊芋)【11月】
根茎は低カロリーの健康食
キクイモは山野の荒れ地などに群落になって繁茂する。茎先に黄色い花が多数咲くその姿は、秋の青空によく映える。菅平などのリゾート地では、道路の脇に延々とキクイモが開花しているのをよく見かける。北アメリカから渡来した帰化植物だが、繁殖力が強く、庭に根茎 (イモ)をひとつ植えようものならあっという間にはびこってしまう。しかし、花が美しいので切り花にしたり、根茎を食用にしたりできるので、庭に植えておけばそれなりの利用価値はある。
戦時中の食糧難の時代、地下の根茎を食用にするためよく栽培された植物で、各地で野生化している。現在でも生のまま漬け物にしたり、よく洗ってゆでて和え物など、食用にされる。最近、町おこし、村おこしの食材としてキクイモが見直され、その独特の風味が話題になることが多い。中野市ではキクイモから作った焼酎が好評のようだ。
キクイモは薬草というより、低カロリーの健康食品に分類した方がよいかもしれない。キクイモの根茎には、イヌリンと呼ばれる多糖類が含まれている。イヌリンはふつうの植物に含まれるでんぷんとは構造式が異なるため、ヒトの消化管では消化、吸収されにくい。分解産物のフラクトオリゴ糖は低カロリーである。イヌリンは食物繊維として知られ、 摂取によりコレステロールなどの再吸収を抑制し、さらに腸管内に有益な細菌を増やすことが知られている。
キク科ヒマワリ属(Helianthus tuberosus)
【ミニ図鑑】キク科ヒマワリ属。花がよく似ているイヌキクイモは、根茎がイモにならず、花期が早い(七~八月)
▼花期 九~十月
出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)
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