生薬のこと

生薬・生薬を用いた薬づくり(第14回)

百草丸の誕生

当社が百草丸の販売を始めたのは、昭和20年代後半のようですがですが、製丸機を導入し、本格的に自社で百草丸の製造を開始したのは、昭和33年頃です。

当時の能書(写真)には「本剤は従来の百草の用法を簡便にする為本社多年の研究により製剤されたものであります。胃腸の良薬百草とその効能には何の変りもなく胃腸を調整して新鮮な活力を与える一歩進んだ胃腸薬であります」とあり、相当な試行錯誤の末にようやく納得のいく百草丸を製造することができ、発売にこぎ着けることができたことがうかがえます。全ての工程が手作業で行なわれていた板状の百草工場に、製丸機を導入して、丸剤の製造に踏み切ったことは、画期的であり、希望に溢れていた様子が文面から伝わってきます。私は当時7、8才でしたが、関西から来た製丸機メーカーの人がずっと(3カ月ほど)実家に泊まり込んで、工場に通っていました。製丸機を据え付け、試運転を繰り返していたものと思われます。

当初の製丸機は現在のものに比較し小ぶりで性能も劣っていたようですが、仕組みそのものには変わりがなく、形の良い丸剤を製造するには、手順に従い製丸機を立ち上げ作動を開始し、生丸のかきとり量の調整、送量の調整、振幅の調整、角度の調整などは、現在も全く変わりがなく、作業者が小まめに見て回り微調整をかけます。製造現場の作業者は「満足のいく生丸に仕上がるのは年に数回しかない。10年も20年もの経験を積まなければ身につくものではない」と語っていますが、調整の加減は長年の経験により培われた感覚により素早く対応することが求められています。

さて、このようにして仕上がった生丸にはコーティングが施されます。自然の産物である主成分のオウバクは「良薬は口に苦し」の言葉にある通り、苦味や香りが味覚や臭覚を刺激して消化管運動を活発にする健胃生薬です。服用の際には、この生薬特有の苦味と香りを感じることが大切で、当社の百草丸は、最初の販売当初から、あえて、オウバクから製造したオウバクチンキを二次コーティングし製品として仕上げています。通常の丸剤は、一次コーティングを施し完成品としますが、当社の百草丸は、オウバクの薬効を丸剤の中に閉じ込めてしまわないように天然の生薬の薬効を服用直後に感じることで無理なく胃腸の働きが高められるように工夫しています。

生薬オウバクの強烈であっても嫌みのない自然な苦味と香りを体感しながら服用していただきたく思います。

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