生薬の話
今年のキハダ植樹

芽吹きの時を迎え、山々が徐々に萌黄色に変わりゆく木曽谷です。木曽川の水も温かな光を受けて輝き、さわやかな季節の訪れに喜びを感じています。
今年も5月にキハダ植樹を行います。弊社は古くからキハダ植樹を行ってまいりましたが、2021年から大きな規模での植樹を開始し、今年で6年目となります。多くの方々のご支援、ご協力、そしてご参加により、キハダ植樹ができますこと、心より感謝申し上げます。
今年の植樹地
今年は、木祖村の鳥居峠の麓の山林、やぶはら高原スキー場近くの山林と、2ヶ所への植樹を行います。鳥居峠の麓は一昨年、昨年に引き続き3年目となります。これまでに植えたキハダはよく育っています。またやぶはら高原スキー場は初年、二年目に植樹させていただき、今回の山林付近には天然更新のキハダも見られ、キハダが成長する見通しがあります。これらの植樹地は、木祖村村内の個人の方、そして、林業関係団体の方々とのご縁のつながりによりご提供いただけることとなりました。弊社のキハダの取り組みにご賛同いただき、ご協力いただいておりますこと、大変有難く感じております。
混交林の植樹
さて、今年の植樹でも、キハダとキハダ以外の樹種を含む混交林の植樹を行います。混交林とは2種以上の樹種からなる山林を示します。弊社では、より自然で、豊かな土と水を育む森を形成したいと願い、3年前から混交林の植樹に取り組んでいます。木曽川の源流の里である木祖村で社業を営む私どもにとりまして、このことは大変重要なことと感じております。(混交林植樹についてはこちら)
対象樹種の選定
キハダ以外の樹種の選定において、今年は2つの点を考慮しました。
①木曽の伝統産業に用いられる樹種で希少となっているもの
②生薬および染料として用いられる樹種で希少となっているもの
これには経緯があります。過去2回の混交林植樹では、キハダ、及び、ヤマザクラ、イロハモミジ、エンジュ、エゴノキを植樹しました。植樹地周辺によく見られる樹種等を中心に選びました。しかしその後、植樹したイロハモミジの稚樹のすぐ隣に、天然のより大きなイロハモミジが生育している等のことが見られ、植樹することの意義を改めて考えさせられることとなりました。キハダを含め、天然の力をお借りし、委ねながら、森の形成を図る方法を見出していきたいと考えています。あえて人の手で植樹する樹種は、キハダと同様、古くからの産業に用いられているが、現在希少であり、当該産業の将来の継続に必要と思われる樹種のみを選定しようと考えました。
昨年のキハダ植樹にご出席いただきました木祖村奥原秀一村長が、木祖村には百草・百草丸に使われるキハダ、お六櫛に使われるミネバリ、木曽漆器に使われるウルシと、地域産業に欠かせない樹種が古くは豊富に生えていたが今はいずれも希少になっているとのお話をしていただきました。このため、ミネバリとウルシを候補としました。
また、キハダは古くから生薬のみならず、染料としても使われてきたことから、弊社では、天然原料を用いた染色に携わられる方々とも交流の機会をいただいております。染料として用いられる樹種の中にも、希少になっているものが様々あると教えていただき、候補となる樹種を挙げていただきました。当該樹種リストについて、長野県地域振興局林務課及び林業大学校の専門家の方々に、木曽でキハダとともに生育することに適しているか否かをご評価いただきました。そして苗木の入手可否も考慮し、本年植樹する樹種を決定いたしました。今年は、下記の樹種の植樹を行います。
・キハダ
・ウルシ
・アカメガシワ
・ハンノキ
・クヌギ
・カリン
・ヤマモモ
植樹に向けて
植樹は毎年、毎年、試行錯誤を繰り返しながら実施いたします。森のはじまりに携わることのできる感謝と大きな責務を感じながら、今年の植樹も懸命に取り組みたいと存じます。多くの皆様のご支援、ご協力に心より感謝申し上げます。
日野製薬株式会社
代表取締役社長 石黒和佳子



