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生薬の話

人にやさしい製剤開発について

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 木曽谷は、零下8度や9度の日が訪れるようになりました。ピンと張りつめた朝の空気に、朝日が昇り、山々を東雲色に染める様子は、今の季節にしか見ることのできない本当に美しい風景です。早起きしたことへのご褒美をいただくような、厳しい寒さの冬でも自然は必ず何かの温かい恵みを与えてくれるような、気持ちとなります。御嶽山の寒山は節分でひと段落となります。今年も多くのお客様がお越しくださいましたこと、心より感謝しております。

  

 さて、弊社では研究開発において、岐阜薬科大学名誉教授、特任・特命教授 竹内洋文先生の多大なるご指導をいただいております。弊社の胃腸薬の百草錠、及び健康食品の菊えもんは、竹内先生のご指導のお陰で開発し、製品化することができました。竹内先生が、一般社団法人全国日本学士会の「令和5年度アカデミア賞」を授賞されたため、1月27日に開催された授賞式及び記念ご講演に出席させていただきました。

  

 竹内先生の記念ご講演は「人にやさしい製剤開発の実現に向けて」をテーマとされていました。医薬品は、法令に定められた通り、品質、そして有効性・安全性を担保しなくてはならない。その基本の上で、「製剤(剤形)とは薬と人との接点である」というお話がありました。剤形は、全身投与・局所投与のいずれか、血中薬物濃度を確保できるか、そしてアドヒアランス(患者の方が日常生活の中で決められた量を決められた時に服用できるか)などを考慮して決定し改善を重ねていくもの、ということです。さらに、最近では服用のしやすさに配慮することも剤形開発の重要な観点となっているとのことです。

  

 医薬品は、ただ投与したり服用させたりするものではない、病に苦しみ、良くなりたいと願う人の気持ちに寄り添い、その方々の日常の暮らしに溶け込むような形でお届けすること、そしてそのために心を込めて研鑽し、技術革新を重ねることが、本当の意味で効能・効果をもたらす、ということを、お示しいただいたように思いました。ものと心を架橋させる、目に見えるものに、目に見えないものを乗せてお届けすることが、私ども製薬会社の役割なのだと改めて教えていただいたように感じました。ご講演の中で、竹内先生の恩師が「製剤とは仏像に魂を入れる作業」というお言葉を、先生に託されたというお話がありました。そのお言葉を常に頭の中で巡らせながら過ごされてきたことを伺い、大きな素晴らしいお心の元、私どもを導いてきてくだったことへの感謝を覚えました。

  

 弊社の研究開発において、先生のご指導は、常に混沌の中にある本質をとらえ、適格にお示しくださる大変心強く温かいものです。多くのデータの中で、ともすると迷い埋もれそうになっている時に、灯台のように進むべき道を示していただき、そちらへ進めるように様々な形でご助言・サポートいただいてきたお陰で、弊社は何とか前進してまいりました。先生は、弊社の医薬品、食品を実際に飲まれる方のこと、そして、生産・製造の実態を踏まえた現実的なアドバイスをくださいますが、その根底に、薬を飲む人、作る人、運ぶ人など、常に人へのやさしさがあることを知り、基本に立ち返るような気持ちです。

  

 毎日の研究開発業務、そして製造・品質管理業務は、困難・苦難の繰り返しですが、本来の目的を忘れず、本質をとらえ、「伝統を守り新たな価値を創造する」の課題実現のため一層研鑽してまいりたいと思います。

  

日野製薬株式会社

代表取締役社長 石黒和佳子


日野製薬オンラインショップ

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