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薬食同次元

キハダの葉のこと

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 暑かった夏もひと段落し、朝晩はひんやりと涼しくなりました木曽谷です。入道雲は鱗雲に変わり、爽やかな風が吹いています。

 今年も6月下旬から7月の梅雨時にキハダの皮むきを行いました。弊社では、キハダの皮むきの際に、キハダの葉の採取も行います。その葉はお茶づくりに役立てています。キハダの全ての部分を余すところなく利活用するキハダプロジェクトの取り組みです。本ブログではキハダの葉についてご紹介します。

  

キハダの葉について

 キハダはミカン科の落葉高木です。その周皮を除いた樹皮は生薬オウバクで、信州木曽の伝統薬である百草、百草丸の主原料です。

 キハダの葉は、「奇数羽状複葉」(きすううじょうふくよう)で、「対生」(たいせい)です。急に難しい言葉が出てきてしまいましたのでご説明します。

 奇数羽状複葉とは、小さな葉が鳥の羽のように葉軸の左右に並び、先端に一枚の小さな葉があることを示します。その小さな葉を小葉といいますが、形は卵型のものから、楕円形で先端が尖ったものまで様々です。1枚の葉には小葉が概ね5〜13枚ついています。1枚の葉全体の長さは約20~40cmあります。一般的に、小葉が1枚の葉と思われがちですが、小葉が集合して1枚の葉であることが、キハダの面白いところです。写真の全体が1枚の葉です。

 また、対生とは、茎に2枚の葉が向き合ってつくことを示します。キハダがまだ小さな幼樹の時に、キハダを見分けるために、対生か否かをよく確認します。

 キハダの葉の表は緑色ですが、裏は白味を帯びています。

  

キハダの葉から知るキハダのこと

 キハダには、ヒロハノキハダ(カラフトキハダ)、オオバノキハダ(フジキハダ)、ミヤマキハダ、チュウゴクキハダ、ニッコウキハダなどの品種があるとされます。その品種は、主に葉や花序の毛の有無、小葉の形などによって特定されます。(*1)

 またキハダは雌雄異株ですが、まだ花や実のならない幼樹の時点で、葉軸が赤味を帯びていると雄、緑の場合は雌との文献の記載を目にしたことがあります。弊社が植樹したキハダを観察すると、植樹後2年目の段階では、観察の対象としたキハダの100%が赤味を帯びていました。全て雄である可能性、または、雌雄の判別をするにはまだ若過ぎるなどの可能性も考えられます。今後も引き続き観察を続けていきたいと考えています。

  

キハダの葉の成分

 奈良県産業振興総合センターでは、県産キハダによる産業拡大と森林地域の振興を目的に、研究機関が連携してキハダの研究に取り組まれています。

 同センターによるキハダの葉の研究報告では、キハダの葉は、ビタミン類の含有量が高く、特にビタミンA(β-カロテン)、ビタミンE(α-トコフェロール)は含有量の高い他の野菜と比較して、ほぼ同量もしくは、それ以上の含有量であることが確認されています。(*2)

 実際に例えばお茶のように食用にするときは乾燥、焙煎などの加工を経て、飲むときに熱湯に浸すため、これらの栄養成分は失われるものも多いと考えられ、そのまま摂取できるとは言えません。しかしキハダの葉には栄養面で特徴があることが分かります。

  

キハダの葉の利活用

 冒頭に記載の通り、キハダの周皮を除いた樹皮は生薬オウバクで、信州木曽の伝統薬である百草、百草丸の主原料です。また古くから黄色の染料として使われてきました。キハダの実はキハダ餅などの原料として、材は木工に使われてきましたが、葉については、明確な用途は確立されていません。

 しかし、キハダの皮むきを行う梅雨時は、寒冷な木曽の地においては、まだ新緑の季節です。皮むきのため伐倒するキハダに、とても美しくきれいで、青々としたみずみずしい葉がついているため、何かに活かすことはできないだろうかと考えてきました。乾燥して飲んでみると、さわやかな香りと味わいがしたため、お茶にすることとしました。キハダ葉を含む7種類の香り豊かなハーブ・スパイスを加えて、「キハダ養生茶」として、2024年12月に発売しました。毎年収穫した葉を用いて秋に新茶を発売し、数量限定で販売しています。

 また日野百草本舗 奈良井店のカフェでは、キハダ・スイーツをご提供しており、これらのメニューにもキハダの葉を用いています。キハダのソーダ、アイスクリーム、かき氷などご好評をいただいております。

  

キハダの葉の収穫、選別と乾燥

 弊社ではキハダ皮むきの時に、キハダの葉の収穫を行いますが、大変な作業です。キハダの皮むきは、大きく成長したキハダの木を倒して行います。個体差がありますが、キハダの木は約10~20mの高さがあります。その木についている葉は膨大な量です。よく冗談で「皮を採るより、葉を採る方が大変」とお話をしますが、実際は多少の本音も含まれています。

 葉の収穫、選別と乾燥は次のような要領で行います。

  

①収穫:キハダの枝から葉を一枚一枚採取します。

②選別1:収穫と同時に、葉の表、裏を目視し、虫食いや破れなどがないことを確認し、選別します。

③乾燥:選別後の葉を集め、ハウスに持ち込み、自然乾燥します。雨の多い時期は天地返しを行います。

④選別2:自然乾燥が完了した葉は、再び表、裏を確認し、最終選別を行います。

⑤不要部の除去:枝が残っているもの、及び、葉軸の太いものを除去し、全工程が完了します。

  

 昨年まで、キハダの葉の収穫、選別(上記①②)は弊社社員のみで行っていました。永遠に終わらないかもしれない・・・と思うほど大量の葉を黙々と収穫、選別する作業は本当に大変でした。しかし今年は、キハダ皮むきに参加いただいた多くの皆様がご協力くださり、収穫、選別をご一緒に行っていただきました。大変有難く、心から感謝しております。

  

 今年収穫した葉の選別、乾燥工程は8月末に終わりました。全て袋につめて、キハダ養生茶の製造工場へ出荷しました。これから焙煎、混合などの工程を経て、キハダ養生茶が出来上がります。秋には今年の新茶を発売いたします。どうぞお楽しみにしていただけましたら幸いです。

  

 今回はキハダの葉についてご紹介しました。多くの皆様のご支援、ご協力のお陰で、今年もキハダの葉を大切に活用できますこと、心から感謝しております。

出典:

*2: 奈良県産業振興総合センター 研究報告 No.47 2021「キハダの実と葉の有効活用の検討 (第二報)」


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