薬草の花
チョウセンアサガオ(朝鮮朝顔)【9月】

※チョウセンアサガオ(朝鮮朝顔)の花期は8月~9月。
花岡青洲が手術麻酔に
(写真①:径10センチほどのケチョウセンアサガオの花。アサガオのようなロート状の大型白色花をつける)
ナス科チョウセンアサガオ属で、いま日本で普通に見られるヨウシュチョウセンアサガオの原産地は不明である。一方チョウセンアサガオの原産地はアメリカ大陸ではないかと言われており、いずれも日本に広く分布している。ひきかえ、生薬「曼荼羅華」や「曼荼羅葉」の原料のチョウセンアサガオはアジア原産で、いまはほとんど自生していない。江戸時代に花岡青洲が手術麻酔で使ったとされるが、当時から栽培もされ、毒性が極めて高いことからキチガイナスビとも呼ばれた。
チョウセンアサガオの仲間は、葉や花にアトロピンやスコポラミンなどのトロパンアルカロイドを含み、別項で取り上げた同じナス科のハシリドコロとはかなり近い属である。アトロピンやスコポラミンは生合成できないため、薬剤原料はこれらの植物より得られる。いずれも、副交感神経抑制作用を持ち現在も重要な薬剤である。
(写真②:高さ1メートルほどの大きな株状となったケチョウセンアサガオ。栽培されるが「有毒」等の表示がほしい)
チョウセンアサガオやハシリドコロ以外にも、ナス科の植物にはさまざまなアルカロイドを含む種が多い。たとえばナスやジャガイモにはステロイドアルカロイド配糖体が含まれるが、ジャガイモの青い皮や芽に含まれるソラニンとチャコニンは有毒である。また、ホオズキには苦味質のフィサリンやフラボノイドのルテオリンが、トウガラシにもカプサイシンといった特異な物質が含まれ、ナス科の植物の生化学的活性は興味深い。ヒヨドリが好むというヒヨドリジョウゴの実にも何かのアルカロイドが含まれているかもしれない。
Datura metel ナス科チョウセンアサガオ属 別名●マンダラゲ、キチガイナスビ
【ミニ図鑑】茎や種子は麻酔剤の原料ともなるが、民間での使用は厳禁
▶花期 8月~9月
(写真③:ジャガイモの花。ナス科の花にはアルカロイドを含む種が多い)
出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)



