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薬食同次元

長寿と食生活

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 長かった冬が終わり、春が訪れています。日に日に日差しが明るく、温かくなり、眠っていた草木が一気に目覚め、山々からにぎやかな生命の息遣いを感じる木曽谷です。

  

 「日本の長寿村・短命村」という書籍を読む機会がありました。東京大学名誉教授・医学博士の近藤正二氏が、衛生学の視点から、長生きの人の多い村と少ない村とを環境、生活事情、仕事、食、風習など様々な観点から比較し、長寿、短命との因果関係を調査研究した成果を記された本です。ここでの長生きとは、満七十歳を越える人を示します。その年齢を越えた人を長寿者とし、平均寿命ではなく、村の人口全体に占める長寿者の割合に着眼し、調査を実施されました。昭和十年頃から、日本全国の村々をリュックサックを背負ってくまなく歩き続けられ、その探訪記録から、長寿、短命の決め手となる要因を導き出されました。それは「食生活にある」ということです。

  

 当時の日本では、ヨーロッパなど他国と比較し、長寿人口の割合が低く、この原因は、遺伝、気候、重労働への従事、飲酒など、様々なことが考えられていました。しかし、長寿村、短命村へ実地で赴き、実例を収集する中で、共通項として、「野菜(人参、かぼちゃと芋類)」、「大豆」、「海藻」を常食していることが挙げられ、これが長寿の決め手になるとの結論に至られたそうです。たまに食べるのでは効果がなく、少量でも一日もかかさず毎日食べることが大切と記されています。また魚や果物が良いとの説もありましたが、漁村・果樹づくり村でも短命村はあり、それだけでは十分ではなく、合わせて野菜、大豆、海藻を食べることが重要ということです。また米ばかりを食べ過ぎるのも良くないことも研究から導き出されています。

  

 当時は交通・物流網が発達しておらず、村や部落の単位で、古くからの食を含む生活習慣が守られていました。現代は食の均質化が進み、当時のような調査は難しくなっていると思います。だからこそ貴重な研究成果であると思います。隣り合う村が長寿村と短命村に分かれているケースもあり、その違いを探ると食生活の違いが現れ、その背景には文化、風習や考え方の違いや、傑出したリーダーの存在があるなど、興味深い内容でした。様々な地域の特色ある暮らしの様子が活き活きと描かれているのも本書の楽しい点です。例えば、志摩の海女は働き者で、長生きの方が多く、その暮らしぶりとして、朝5時から野良着姿で畑に出て、いもや野菜をつくり、9時すぎには海女の装束になり海に潜り、3時頃切り上げ、また野良着に着替えて畑仕事に精を出し、夕食づくり・後始末を一切行っていたと記されています。海中で力を出すため、人参を常食し、甘い物は控え、睡眠を心がけ、摂生していたこと、また米がとれないため、さつまいもや麦を主食にし、大豆や胡麻、魚、海藻をよく食べていたこと、笑いが多く張り合いのある暮らしをしていたことなどが紹介されています。日本の民族史としても興味深い内容であると思いました。

  

 「薬食同源」との言葉が示す通り、食生活が健康に及ぼす影響は古くから知られています。食生活を整え、ほどよく摂生し、健康に楽しく暮らしていきたいものです。新しい年度が始まります。職場・学校・日常の暮らしに変化が生じる方もいらっしゃると思います。そのような時こそ、基本に立ち返り「快便・快食・快眠」を心がけ、元気にご活躍されることを祈念しています。

  

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出典:近藤正二氏著「日本の長寿村 短命村」サンロード出版 1972年 180p


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