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薬食同次元

薮原神社を訪ねて

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 木曽谷では、山の緑が一層濃く、木々の間をぬける風が心地よい季節を迎えています。 

  

木祖村有形文化財 薮原神社  

 この春、木祖村の薮原神社において、「薮原地域発見座談会 薮原地域の歴史・文化を知ろう 木祖村有形文化財 薮原神社」が薮原地域自治協議会および木祖村観光協会の共催により開催され、出席させていただきました。薮原神社は、中山道薮原宿の街道沿いの家々を見守るように高台に位置しています。日野製薬本社から徒歩15分ほどの場所にあります。薮原神社の第二十四代当主宮司の奥谷一文氏が講師を務められ、薮原神社の御祭神、御由緒、社殿のつくりなどについて紹介をしていただきました。

  

 薮原神社は、飛鳥時代の680年、三野王(みののおおきみ)が、信濃国の各地を勅使として巡視された際、現在の鳥居峠の山頂に熊野の神々を勧請鎮祭されたのが、創始とされています。その後鎌倉時代に地王の地へ遷座され、安土桃山時代の1590年、現在の社地へ遷座されたということです。

 御祭神は、本殿に伊邪那岐尊(いざなぎのみこと)、伊邪那美尊(いざなみのみこと)、速玉男命(はやたまのおのみこと)、事解男命(ことさかのおのみこと)、相殿に須佐之男尊(すさのおのみこと)、菅原道真です。伊邪那岐尊、伊邪那美尊は、国造りの神々です。伊邪那岐尊が早くなくなられた妻の伊邪那美命を黄泉の国へ迎えに行き、その帰りに誓いを立て、唾をはいた時に生まれたのが速玉男命、掃きはらった時に生まれたのが事解男命ということです。また、須佐之男命は病気平癒、疫病退散の神、菅原道真は学問の神として知られています。

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 薮原神社の社名は、古くは熊野社でした。後白川家の宣旨により熊野大神宮と称することとなりました。しかし、明治時代の神社合祀施策により、一村一社とされ、村内の神社が集められた時に、薮原神社に改称されました。現在も域内に多く神々がお祀りされています。

 本殿は、御佐舎という建物の中にあります。御佐舎は、入母屋造で屋根には千木と鰹木が飾られており、一見すると本殿のようです。木祖村は雪が多く本殿を守るために建てたのではないかとご説明をいただきました。現在の本殿は、二代目立川和四郎富昌によって造られました。立川和四郎は、静岡浅間神社や諏訪大社上社など、国宝や文化財に指定される神社を造った棟梁です。その彫刻は意匠、技術に優れ、芸術作品として知られています。薮原神社の金嚢、獏頭、唐獅子、昇り龍と降り龍などの彫刻は、いずれも立川和四郎によるものです。今回、本殿に上がる貴重な機会をいただき、昇り龍と降り龍を間近に見せていただきましたが、今にも動き出しそうな躍動感にあふれた素晴らしいものでした。なお、本殿に向かって左側の象の鼻のみ、後からつけたものだそうです。これには諸説あり、立川和四郎が持ち帰ってしまったとの説や、大工の棟梁は建築のどこか一つを完成させない習わしがありそれによるものとの説などがあるそうです。

 薮原神社は、古くから病気平癒の霊験あらたかで、遠くは京都や滋賀からお参りに来られる方があったそうです。古い狛犬は、参拝者がなでたため丸くなっていたそうで、今も大切に保管されているそうです。また祈祷料を払えない人は掃除をすることで祈祷料を免除したそうで、奥谷宮司のご実家は、どこもピカピカだったとのお話もしていただきました。

  

人々の心をつなぐ要    

 薮原神社は、地域の氏神様であり、毎年七月の例大祭は、大人も子どもも参加し地域を挙げて盛り上がります。上獅子屋台、下獅子屋台、御神輿が町中を練り歩き、それぞれがすれ違う時に、互いの舞を披露し合う寄合(よけあい)」の時には、人々が周りを囲み大きな掛け声をかけながら見守ります。御祭によって季節を分け、地域の人同士の会話では、物事を行う時期を「御祭前」、「御祭後」と言うほど、地域に根付いた大切な例大祭は、人々の心を一つにつないできました。

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 薮原宿は、中山道69次の35番目の宿場であり、江戸と京都を結ぶ街道の真ん中に位置しています。そのほぼ中央に位置する薮原神社は、人々の暮らしの安寧を見守り、地域の要として長い歴史を紡いできました。

 このたびの座談会で、これまで氏神様として心を寄せてきた薮原神社について、創始からの歴史、御祭神、造りなどを詳しく教えていただく貴重な機会をいただき、大変有難く思いました。知らなかったことも多く、大変興味深く、楽しい時間でした。お忙しい中、座談会を開催いただきました奥谷宮司、薮原地域自治協議会、及び木祖村観光協会の皆様へ感謝申し上げます。

    

日野製薬株式会社

代表取締役社長 石黒和佳子


日野製薬オンラインショップ

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