薬草の花
タケニグサ(竹似草・竹煮草)【7月】

※タケニグサの花期は6月~8月です。
全草有毒、口にはしないこと
(写真①:高さ2メートル近くなる。大形の多年草で、茎・葉の汁を外用に用いる)
草丈が2メートルにもなる大型の草本で、信州の里山でもよく見かける。山林を伐採したあとや、道路や造成地の法面などによく繁殖する典型的な陽地植物である。枝分かれせずに高く立ち上がり、頂上に大型の円錐花序をつける。真夏に開花するが、白色がかった花は地味である。カシワに似た大きな葉をつけ、まばらにつく花は、夏の強い陽差しにも負けず毅然と立つ。
竹と一緒に煮ると軟らかくなり、細工しやすいことからこう名付けられたというが、実際にそのような使い方をされたという話は聞かない。むしろ茎の内部か中空で、「竹に似ているから」という説の方が説得力がある。
茎は太く逞しいわりにもろく、簡単に折れる。手折ると黄色い液汁がにじみ出る。同じケシ科の植物のクサノオウも折ると黄色い汁が出て、やはり薬草として知られる。いずれもこの汁に有毒のアルカロイドが含まれ、民間では皮膚疾患に用いられるが、内服はできない。
(写真②:茎や葉を傷つけると出る橙黄色の汁は有毒である)
虫さされの痒みやタムシには液汁を直接患部にすりつける。全草を乾燥させたものが「博落廻」で、消炎、解毒、殺虫薬として、膿腫、潰瘍、中耳炎などに外用として用いられる。毒性が強いので、くれぐれも内服はしないこと。成分はべンジルイソキノリン型のアルカロイドで、 サンギナリン、プロトピンなどが含まれる。
Macleaya cordata ケシ科タケニグサ属
別名●チャンパギク、インキグサ
【ミニ図鑑】日当たりのよい山野に多い。葉の裏側は白っぽく目立つ
▶花期 6月~8月
(写真③:同属のクサノオウ。有毒のアルカロイドを持つ)
出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)