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薬草の花

ヘクソカズラ(屁糞葛)【10月】

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※ヘクソカズラ(屁糞葛)の花期は8月~9月。
名は悪臭から、果実は霜焼けに

(写真①:つる状に伸びた茎に、1センチたらずの美しい小花を多数つける)

「ヘクソカズラ」とはかわいそうな名前だ。確かにこの植物は葉や茎全体に強烈な悪臭がある。春先に庭の片隅で芽生えたかと思えば、周囲の物にどんどん絡みついて、あっという間に小樹木を覆いつくしてしまうほどに繁茂する。しかも、退治しようとして刈り取れば、つるは硬く手ごわいうえ、あの匂いである。あまりよい印象がないが、そのような理由からこの名前がついたのだろう。

しかし、この写真を見れば「なぜこの植物がそんな呼び名なの?」と思うほど美しい花である。呼び名ひとつでこれほどにイメージが変わってしまうものなのであろうか。古くは、万葉集にも「くそかずら」の名で詠まれていたというから、昔から、悪臭、花の美しさ、秋の風情が人々に強烈な印象を与えてきたのだろう。それゆえ、この植物には、不思議な生命力の強さを感じる。

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(写真②:秋、無数の液果が色づいてくる)


種を鳥が運ぶのか、街中の手入れのされていない生垣にヘクソカズラが絡みついているのをよく見かける。そして、秋になると枝いっぱいに黄色い液果を実らせる。夏の可憐な花もよいが、秋にたわわに液果が実る姿も豊かさを感じさせ、さらに初冬に葉を落とした枝に残る様子は風情がある。


ヘクソカズラの薬草としての使用は民間薬に限られる。中国では全草と根を煎じて下痢、腹痛、関節痛などに用い、日本では生の果実をつぶしてその汁を霜焼けや、ひび、あかぎれなどに外用する。また、虫に刺されたときに生葉の汁をすりこむ。成分は、イリドイド配糖体、イリドイドエステルなどだが、おもな薬効は、ドクダミなどと同じで、あの生臭さに由来するようだ。



Paederia scandens アカネ科ヘクソカズラ属 別名●ヤイトバナ、サオトメバナ

【ミニ図鑑】アカネ科の植物で、同じ科のアカネやクチナシも薬草として知られる

▶花期  8月~9月

107-C-400.jpg(写真③:黄褐色に熟した果実。つぶして薬用に)


出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


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