薬草の花
ガマ(蒲)【8月】

※ガマ(蒲)の花期は6月~8月。
茎頂に雄花群と雌花群の穂状花序
(写真①:各地の湖沼や湿地などに群生し、よく目立つ)
唱歌では、「因幡の白うさぎは大国さまに助けられ、ガマの穂綿に包まれて傷を癒やした」と歌われる。しかし、古事記では「大国主命は、ガマの花粉である蒲黄をまき散らして、白うさぎはその上を転がった」と書かれている。古事記の時代に、ガマの花粉が使われていたことは興味深い。
六月〜八月に花茎の先端に円柱形の花序をつける。下部は緑色の雌花群、上部は黄色い雄花群で、受粉後も雌花の花柄は徐々に伸びる。秋になって果実の集合が茶褐色に熟したものがいわゆる「蒲の穂」で、大きさは二十㍉ほどになる。箸に刺し通したフランクフルトソーセージを連想させる。
(写真②:6〜8月、熟した雄花群から黄色い花粉を採取する)
夏にガマの雄花穂を採取し、ふるいにかけて採取した花粉が、生薬の「蒲黄」である。花粉の成分としてフラボノイドのイソラムネチン、β-シトステロールなどが含まれ、民間では日本古来の止血薬として知られる。傷にそのまま散布したり、内出血にはほかの生薬と調合して内服する。全草は漢方薬としても使われる。
ガマは休耕田などで急速に繁殖し、最近は県内でもいたるところで見られるようになった。同属の全体にやや小ぶりのコガマや、雌花穂と雄花穂の間が裸の軸になっているヒメガマも県内では普通にある。これら三種は放置された田や水路などでもよく増える。この仲間は、池のある庭の造園や生け花の材料としてよく用いられ、さらに葉や茎は籠や敷物、すだれなどに、若芽や根茎の澱粉は食用にと、古来より日常生活によく利用されてきた。
Typha latifolia ガマ科ガマ属 別名●ミスグサ 生薬名●蒲黄(ほおう)
【ミニ図鑑】ガマ、コガマ、ヒメガマは同属で大きさは違うが、いずれも薬用とされる
▶花期 6月~8月
(写真③:同属のコガマ 全体にやや小ぶり)
出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)



