薬草の花
センニンソウ(仙人草)【3月】

※センニンソウ(仙人草)の花期は7月~9月。
有毒成分、民間での使用は厳禁
(写真①:キンボウゲ科のシラネアオイ。深山の名花)
花が散った後にできる「そう果」の先が長い羽毛状になり、白髭の仙人を連想させるためセンニンソウと名付けられた。キンポウゲ科で、近縁のボタンヅルとならんで山野によく見られる植物である。ボタンヅルは花を牡丹になぞらえた、つる性の植物の意味であろう。どちらも白い四弁の萼片を持つが、センニンソウの方がすっきりしていて爽やかな印象である。いずれも、道沿いのフェンスに絡みついて咲いているのをよく見かける。
ひところ、センニンソウの葉を手首に貼って、扁桃炎の治療に使う民間療法がはやった。キンポウゲ科の植物に含まれるアネモニンは触ると水疱を伴う皮膚炎を起こす。医者にとってはこちらの方が厄介者で、皮膚炎の治療にてこずったものだ。理論的には、慢性のアレルギー反応を起こして細胞性免疫を活性化させ、感染症を抑える作用を狙ったものである。副作用の割に効果は少なく、現代医療ではあまり勧められない。センニンソウに含まれる成分はプロトアネモニン様物質で有毒である。特殊な漢方薬に使うが、民間で使用することは厳禁である。

(写真②:近縁のボタンヅル。放射状の長い蕊がよく目立つ)
キンポウゲ科の植物は、日本には二十二属、百四十五種を数え、幅の広い科である。本書でも四種取り上げた。さらに、キンポウゲ科はオダマキ、トリカブト、シナノキンバイ、シラネアオイなど美しい花が咲く植物が多い。この科の植物の特徴として、種々のアルカロイドをもち、有毒植物が多い。一方、その中には薬効があるものも多く、将来、医薬品としての開発も期待できる。
Clematis terniflora キンポウゲ科センニンソウ属
別名●ウマノハオトシ、ウシクワズ
【ミニ図鑑】キンポウゲ科の植物はアネモニンほか有毒成分を持つものが多いため、触ったり口にしない方がよい
▶花期 7月~9月

(写真③:白い花弁状の部分は萼。全草触ると皮膚炎にも)
出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


