薬草の花
キカラスウリ(黄烏瓜)【2月】

※キカラスウリ(黄烏瓜)の花期は8月~9月。
夜に咲く花、乾燥した根茎は生薬
(写真①:近縁のカラスウリ。花弁の先端はさらに細かい)
樹木に長々と絡みついたキカラスウリは、夏の夕暮れに白い花を咲かせる。五枚の花弁の先端からは、糸のように細い繊維が多数伸びてレース状に広がる。この繊細な花は翌日の昼ごろにはしぼんでしまう。おもに夜間咲く花で、見掛け上の面積を増やして昆虫の目に留まりやすくするため、このような構造になっているものと思われる。キカラスウリは雌雄異株で、雌株は数年を経て根茎に十分栄養が蓄えられた時点で開花、結実し、そこで枯れてしまう。雄株は枯れず、翌年も開花を繰り返す。 虫媒花であり、雌株と雄株が離れて生えていることが多い。花は夜開花するので、花粉を媒介するのはある程度飛翔力があり、夜間活動する昆虫だとすれば、蛾の仲間であろうか。

(写真②:冬、黄色く熟した果実を採取して種子を採り出す)
初冬、キカラスウリの葉が茶褐色に枯れるころ、長いつる状の枝についた黄色い実(液果)は熟す。 この時期、林縁の高木や廃屋の屋根まで伸びた枯れづるに、液果が鈴なりについているのを見かけることがある。一方、県内には少ないカラスウリは橙赤色の実をつけ、これも美しい。キカラスウリの肥大した根茎を乾燥したものは「括楼根」と呼ばれ、漢方薬として使われる。多量のでんぷんを含み、多種の脂肪酸やタンパク質、アミノ酸、ステロール、トリテルペノイドが含まれる。 根茎から取り出された澱粉粒は「天花粉」と呼ばれ、汗知らずとして使われる。括楼根は煎じて飲めば去痰、止渴、排膿作用を持つとされ、咳や脱水症、化膿性疾患に使われる。種子は「括楼仁」と呼ばれ、 これも漢方薬の原料になる。
Trichosanthes kirilowii var. japonica ウリ科カラスウリ属
別名●ムべウリ 生薬名●括楼根、括楼仁
【ミニ図鑑】鳥に運ばれた種子が芽生えて、街中でもつるを伸ばした姿を見る
▶花期 8月~9月

(写真③:夏の夕方開花し、レース飾りのついた花弁を広げる)
出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


