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薬食同次元

御嶽山の国定公園化に際して

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 大寒を過ぎ、厳しい寒さの木曽谷です。零下十度を下回る日もあり、雪の日には、とめどなく舞い降りる雪に畏れを覚えながら、白く静かな風景の美しさに感動します。節分が訪れますと、御嶽山の寒山参拝もひと段落となります。今年も多くの皆様に王滝店、里宮店にお立ち寄りいただき心より感謝しております。

御嶽山は2026年春に国定公園に指定される見通し

 御嶽山の国定公園化が進められ、早ければ2026年春に国定公園に指定される見通しとなりました。御嶽山は、長野県と岐阜県の間に位置し、標高3,067mの独立峰です。日本国内の3,000m以上の山々で独立峰は、富士山と御嶽山のみしかありません。その山容は雄大で美しく、植生は豊かで、古くから人々に親しまれ、崇敬を集めてきました。

 

 国定公園とは、国立公園に準じ「優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図り、国民の保健、休養、及び教化に資するとともに、生物の多様性の確保に寄与することを目的」として、国が指定し都道府県が管理する自然公園です。このたびの御嶽山の国定公園への指定には、3つの理由があるということです。

  

【国定公園への指定理由の要旨】

・標高3,000mを超える火山性の独立峰であり、雄大な景観を有する

・頂上から麓まで連続的に自然植生が変化する様が見られる

・古くから山岳信仰の対象の山であり、自然と文化が融合した文化景観が見られる

(「国定公園の指定及び公園計画の決定に係る申出書の概要」より)

  

 自然の景観や豊かな植生が保護の対象に含まれるのはもちろんのこと、御嶽山における信仰の文化も保護の対象になることは、大変素晴らしいことと思います。厳しくも豊かな自然に育まれた人の営みが未来へつながることは、非常に重要なことと考えます。

「おまいりを御嶽山に学ぶ」crude_drug_260201_bookcover1.jpeg

 このたび「おまいりを御嶽山に学ぶ」という素晴らしい本との出会いがありました。御嶽講の曽本照王教会 先達 中山容孝様が執筆されました。曽本照王教会様は、2025年に設立から百五十年を迎えられました。中山様は四十数年の長きに亘り先達として、多くの方々を導かれご奉仕されています。

 

 本書では、御嶽講とは何かをご説明された後に、「おまいり」について記されています。おまいりとは「感謝、反省、祈願の三つ」を示します。おまいりは「心の対話」であり、毎日継続することが、謙虚で、常に感謝の心を持ち、より良く生きることにつながると示されています。おまいりは心を豊かに成長させること、またおまいりがもたらす柔軟でやわらかな思いやりの心は、健やかな人生の源であると記されています。

  

 何気ない日常に感謝し、良くなかったことは反省し、自分や家族や大切な人のために祈願することは、普遍的なより良く生きるための習慣であると思います。民間信仰である御嶽講は、形式より実践を重んじ、誰しもが、苦難の多い人生を明るく健やかに生き抜くための教えを授け、心に軸をもたらし、人を助けてきたことを改めて感じました。経済が発展し、技術の進歩著しい現代社会でも、戦争・紛争、貧困、飢餓、心の病などの諸問題は引き続き山積しています。さらに世界各地で気候変動による被害が生じ、人類史上類を見ない危機に直面しているともいえます。このような時代だからこそ、本書で示されている「己を知り、足るを知る」ことの重要性を感じます。自然の一部である人間はどのように生きていくべきか、道しるべとなるのは、自然の山、木、水などあらゆるものに神が宿ると考え、畏れ、敬い、感謝し、その恵みの中で健やかに生きようとしてきた日本古来の自然信仰、山岳信仰の精神ではないかと思いました。本書の端的ながら、優しく語りかけられるような文章は心に染みわたるようでした。御嶽山の信仰について、平易な言葉で誰しもに分かり易く書かれた本書を、初めて知る方を含め、多くの方々にお読みいただきたいと思いました。

  

 そして、このたびの御嶽山の国定公園への指定が、先人から連綿と伝わり、現代の暮らしにもいきいきと息づく大切な教えに、改めて着眼する契機となり、御嶽山の信仰の文化とともに未来に継承されることにつながればと願います。

御嶽山と豊かな自然に育まれた文化を未来へ

 御嶽山およびその山麓においては、厳しくも豊かな自然の中で生きる人々の暮らしが、様々な文化を醸成してきました。御嶽山の御霊薬(ごれいやく)とも称された民間伝承薬の「百草」もその一つです。百草の由来には諸説ありますが、御嶽山を開山された修験者の方が村人に製法を伝えていただいたのがはじまりとも言われます。百草は、御嶽信仰と密接に結びついた薬です。

 また木曽谷は古くから薬草・薬木の宝庫としても知られてきました。その豊かな自然の恵みが、百草をはじめとする民間伝承薬が現代まで伝わってきた理由の一つと考えられます。

  

 先人から伝わる大切なものの中には、時代の変遷により残念ながらつながらないものもあります。それらを未来へ継承することは、その思いを人の心に伝搬する努力をすることに他なりませんが、それが最も難しいことでもあります。しかしだからこそ、あきらめず、たゆまぬ努力を続けなくてはならないと感じています。百草は、御嶽信仰と同じく、百年先、二百年先の人々にも、伝えなくてはならないと考えています。

終わりに

 日野製薬の社業は、御嶽山とともにあります。時代を越えて、良い時もそうではない時も、日野屋の当主、そして現在の日野製薬の私どもは、御嶽山を心のよりどころとしてまいりました。御嶽山に思いや関心を寄せる全ての皆様とともに、自然の恵みの中で健やかに暮らす先人の知恵を、その思いとともに未来へつなぐことができますよう、今後も励んでまいります。

     

日野製薬株式会社

代表取締役社長 石黒和佳子

引用文献

長野県、岐阜県. 「国定公園の指定及び公園計画の決定に係る申出書の概要」. 2025. 1-2

曽本照王教会先達 中山容孝氏著. 「おまいりを御嶽山に学ぶ」. 2025年. 文芸社. 1-97


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