生薬の話
百草丸の歩み
寒さが緩み、イチゴや菜花やフキノトウが店頭に並び、春の訪れを感じる今日この頃です。
先月は「百草」をテーマとしましたので、今月は「百草丸」をテーマに記述してみます。
当社が百草丸の製造を始めたのは昭和30年頃のことです。発売当初の百草丸の説明書には、
本剤は従来の百草の用法を簡便にする為本社多年の研究により製剤されたものであります。胃腸の良薬百草と其の効能には何の変りもなく胃腸を調整して新鮮な活力を与える一歩進んだ胃腸薬であります。
成分:オウバクエキス、ゲンノショウコ、白朮末
効能:胃痛、腹痛、下痢、溜飲、宿酔
とあり、「百草の飲みにくさの克服のため粉末生薬を配合して丸剤にしましたが、百草と何ら変わることがない効能ですよ。飲みやすくなったこの丸剤を服用してください。」と語りかけています。
「これまでは全てが手作業の百草の工場でしたが、一念発起して製丸機を導入し、百草丸の製造に踏み切りました。」と、並々ならぬ丸剤製造への意気込みが感じられます。
その後、平成5年からは、当初のオウバクエキス、ゲンノショウコ末、ビャクジュツ末にガジュツ末、リュウタン末、センブリ末を加えて全部で6種類の生薬を配合した御嶽山日野百草丸の製造販売を開始し、平成27年には、さらに、エンゴサク末を追加して全部で7種類の生薬を配合した日野百草丸の製造販売を開始し現在に至っています。平成17年からは、希少な国内産オウバクで製造したオウバクエキスを用いた百草丸を数量限定で製造販売しています。
丸剤製造開始当初の製丸機は小ぶりで性能は多少劣っていましたが、仕組みは現在のものとほとんど変わりありませんでした。オウバクエキスに粉末生薬を混ぜ合わせ適度の弾性と粘着性のある丸剤塊(練混物)を製丸機にかけ丸い粒(生丸)にしますが、天然物なので、たとえば含水量には多少のバラツキがあります。これを一定の練混物にするためには、原料の仕込みごとに水の配合割合を導き出し適切な練混物とし製丸機にかけなければならず、作業者の感性と技術に委ねられています。また、製丸機を作動し始めてからは、生丸のかきとり量の調整、送量の調整、振幅の調整、角度の調整等々をこまめに見て回り、必要に応じて微調整をかけるのも作業者です。
このようにして仕上がった生丸は乾燥を経てコーティングが施されます。一般的にコーティングは合成の添加剤を用いて生薬の味や臭いを覆い内容物を保護することによって完成させるのですが、当社はオウバクエキスから製造したオウバクチンキをさらに噴霧(二次コーティング)し完成させています。味や香りも効能を左右する要素の一つととらえ、苦味健胃薬である百草(オウバクエキス)の苦みと香りを丸剤の中に閉じ込めてしまうのではなく服用直後に感じていただくためです。民間伝承薬として脈々と飲み継がれてきた百草(オウバクエキス)の"気味(味と香)"を百草丸に取り入れ、天然の生薬の恩恵を丸ごと活かすように製造しています。
生薬は多種多様な成分で構成されています。百草丸はこの多種多様な成分で構成された生薬を数種類組み合わせています。したがって、未知の成分も含めて非常に多くの成分で構成されており、その中には緩衝剤的な役割を果たす成分もあり、通常、生薬は1種類だけでは作用がストレートで副作用も現れやすいのですが、組み合わされることで、穏やかに作用し、副作用も軽減されます。
多くの成分で構成された百草丸は、弱った胃腸に穏やかに作用し、胃腸の調子を整えます。
日局製剤総則丸剤の項には、「丸剤の起源は、エジプト、ギリシャ、中国古代の時代に遡る歴史的に古い剤形である。生薬や味やにおいが悪く服用しにくい薬品とか、微量の主薬を長期にわたって福与する際の優れた投与法として、また、用量を個数で簡便にとりうる剤形として重用されたが、近年は錠剤やカプセル剤にその場を譲ってきた。」と、あり、現在では民間伝承薬や漢方薬の一部にしか丸剤を見ることがなくなっていますが、中国の古い書物には、「丸は穏やかなり」とあり、その吸収が緩慢で薬効が持続すると説かれています。
丸剤には、「胃腸でゆっくりと溶け、緩やかに効き、効果が持続しやすい」という利点があります。
日野百草丸は、生薬の中に含まれている多くの薬効をじっくりと時間と手間をかけて引き出し、味や香りまでも丸ごと活かして製剤化した丸剤です。日常的な胃腸の健康管理に常備薬としてお備えいただき、セルフケアにお役立ていただきたく存じます。
付録
平成5年からの「御嶽山日野百草丸」の説明書
昔から快食・快便・快眠が健康を象徴する三要素といわれています。この快食・快便は消化管が正しく働いているということです。いつもおなかの調子を整えておくことが何よりも健康への近道といえます。古くから百草の名で知られているオウバクエキスをはじめ6種類の生薬を配合し、飲みやすい丸剤としたものです。
御嶽山日野百草丸:1日量60粒中(成人)
成分・分量
オウバクエキス900mg・日局ゲンノショウコ末600mg・日局ビャクジュツ末600mg・ガジュツ末600mg
日局リュウタン末150mg・日局センブリ末16mg
効能・効果
食欲不振(食欲減退)、胃部・腹部膨満感、消化不良、胃弱、食べ過ぎ(過食)、飲み過ぎ(過飲)、胸やけ、もたれ(胃もたれ)、胸つかえ、はきけ(むかつき、胃のむかつき、二日酔・悪酔のむかつき、嘔気、悪心)、嘔吐
平成27年からの「日野百草丸(国内産オウバク配合)」の説明書
日野百草丸(国内産オウバク配合)は、信州木曽に古くから伝わる伝統的な生薬製剤で、七種類の生薬を配合した胃腸薬です。主成分のオウバクエキスは、生薬オウバクを熱水で煮出して煮詰めて製します。オウバクはミカン科の落葉高木キハダの周皮を除いた樹皮です。本品には、国内産オウバクを健胃剤として配合しています。このオウバクエキスに、健胃剤としてビャクジュツ末、ガジュツ末、リュウタン末、センブリ末を、整腸剤としてゲンノショウコ末を、粘膜修復剤としてエンゴサク末を加えました。健胃、整腸、粘膜修復の三つの働きにより、弱った胃腸の調子を整え、不快な症状を改善し、健康な胃腸へと導きます。また、オウバクエキスの苦味と香りによる健胃効果を活かすため、オウバクエキスから製したオウバクチンキをコーティングし、丸剤としています。服用後直ちに国内産オウバク特有の苦味と香りが感じられ、弱った胃の働きを促します。
日野百草丸(国内産オウバク配合)は、食べ過ぎ、飲み過ぎ、胃もたれ、ストレスによる食欲不振、消化不良、加齢に伴う胃弱など、症状に応じて、食前又は食後に服用してください。生薬特有の薬効を活かした日野百草丸(国内産オウバク配合)を健やかな胃腸を保つための常備薬としてお役立てください。
日野百草丸:1日量60粒中(成人)
成分・分量
オウバクエキス1800mg(原生薬換算量2300mg) 、オウバクチンキ33mg(原生薬換算量60mg)/苦味健胃剤
日局ゲンノショウコ末500mg/整腸剤
日局ビャクジュツ末500mg、ガジュツ末500mg/芳香健胃剤
日局エンゴサク末350mg/粘膜修復剤
日局リュウタン末100mg、日局センブリ末16mg/苦味健胃剤
効能・効果
食欲不振(食欲減退)、胃部・腹部膨満感、消化不良、胃弱、食べ過ぎ(過食)、飲み過ぎ(過飲)、胸やけ、もたれ(胃もたれ)、胸つかえ、はきけ(むかつき、胃のむかつき、二日酔・悪酔のむかつき、嘔気、悪心)、嘔吐


