生薬の話
お客様からの「問い合わせ」対応:その2
庭に降り積もっていた雪が解けたら、スイセンやジャーマンアイリスが土の中から芽を出していました。裏道の土手にはフクジュソウが咲いていました。季節を忘れずにけなげに芽を吹いたり、花を咲かせている姿に思わず「えらいね」と声をかけてしまいました。
さて、先月に引き続き、お客様から寄せられた「薬に対する問い合わせ」の実際とその返答を紹介させていただきます。
昨年6月から週に一回、30分ほどの学習会を行っています。お客様お一人お一人の質問に対して適切にお答えが出来たかどうかを顧みながら、より分かりやすくお伝えできるようにと意見を出し合って続けています。
2021-08-27
お客様からのご質問:
日野百草丸に「食前・食後」と書いてあるが、正確には何分なのか。先日、計粒スプーンをお願いし今日届いたため服用しようと思ったが、気になったため電話した。スプーンはすごく便利。時間短縮になる。でも先日計粒スプーンをお願いする時の電話で、「ふたの裏に穴を開けたらどうか」と話した。
母のころから百草丸を使っている。母は「だらすけ」と呼んでいた。なぜ「だらすけ」なのか。
これまでは食後に飲んできており、調子は良かった。でも最近の長雨でつらくなった。胃の調子が悪い。消化されない、胃もたれ、みぞおちがおかしい、胃の中に食べた物が残っているような感じがある。
本当はオブラートに包んで飲んだ方がよいかもしれないが、オブラートは飲みづらいためそうしていない。
百草丸は、ずっと飲んでも良いのか。
日野製薬の返答:
食前または食後とは、おおよそ食事の30分前・後のことです。食前はお食事の30分くらい前、食後はお食事の30分くらいまでを目安ととらえていただければと思います。 計粒スプーンが便利とのことありがとうございます。ふたの裏に穴を開けた百草丸は大昔に、他社でご提供していた時期があったようです。しかしやはり衛生面の懸念やひっかかりなどの心配があり止めたと聞いております。
お母様のころから百草丸をご愛用くださってありがとうございます。木曽地域でも「百草」を「だらすけ」と呼んでいました。「だらすけ」は「陀羅尼助」という奈良県の大峰山の麓に伝わる伝承の胃腸薬で、生薬オウバクのみを成分とした板状の薬で、弊社の「百草」と同じです。「百草」は江戸時代後期に御嶽山の修験者が山麓の村人に伝えたのが始まりと言われていますが、そのルーツは奈良県の大峰山で修行した修験者が御嶽山でも修行し「陀羅尼助」をもたらしたことによります。御嶽山麓に原料のキハダが豊富にあったことも百草の製造が行われるようになったきっかけです。このため、今でも年配者は「百草」を「だらすけ」と呼んでいます。
また、これまで食後に服用されているとのことですね。百草丸は症状に合わせて、食前または食後のいずれにも服用いただけます。例えば、胃が弱っている場合、食欲がない場合は食前に、食べ過ぎてしまった場合は食後にとなります。お客様の症状は、食後で良いと思いますが、例えば食事をすると以前よりも消化が遅くなったと思われる場合には、食前の服用をお試しいただいても良いと思います。
また弊社の日野百草丸は苦いのですが、是非オブラートには包まずに天然の生薬ならではの苦みによる薬効を感じながら服用していただきたいと思います。主成分のオウバクエキスは苦味による健胃効果によって消化管の働きを活発にする生薬です。このため、弊社ではこのオウバクエキスからオウバクチンキを製造し、丸剤の表面にコーティングし、服用直後に苦味による健胃効果を高めていただける製法をとっています。
百草丸は、症状が良くなっているとお感じになる間は続けていただいて結構です。ご自身でその時々の症状によって調節して服用していただいて構いません。
※お客様より
「"良薬は口に苦し"というように安心感がある。今までは好きなように飲んでいたが、年齢的に色々心配になってきて電話した。お話を聞いてとても安心した、これからも飲みたいと思う。時間を取ってしまって申し訳ない」
とのお言葉がありました。
「時間はお気になさらないでいただきたい。これからも、服用方法のご不明点や心配なご症状等があれば、いつでもお電話いただきたい」とお伝えしました。
2021-09-02
お客様からのご質問:
百草丸の購入を考えている。弟は、季節の変わり目や冬に風邪をひきやすく、胃腸の不具合の対策に普段から飲める安心な予防としても使える胃腸薬を探している。百草丸はどうか。
日野製薬の返答:
百草丸は健胃・整腸・粘膜修復作用のある生薬を7種類配合した胃腸薬です。キハダの周皮を除いた樹皮のオウバクを抽出・濃縮したオウバクエキスという苦味健胃薬が主成分です。風邪気味で胃腸の調子が悪い、疲れのせいか食欲がない、食後に胃がもたれるなど、日頃の軽度な体の不調には、胃腸全体の調子を整えながら無理なく穏やかに働きかける百草丸が適しています。日常の胃腸の健康維持にお役立てください。
服用については、成人の場合、1日3回、1回20粒です。調子が悪いと思われましたら、早めに服用し様子をみられてはいかがでしょうか。コップ1杯程度の少し多めの水またはぬるま湯で服用してください。百草丸は食前でも食後でも服用できます。食欲が出ないような時には食前に、胃もたれがするような時には食後にと、症状に応じて服用してください。服用すると調子がいいと感じられる間は服用を続けていただくことができます。