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生薬の話

「日野百草丸」の発売にあたって

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令和元年10月1日、今日は、新しい「日野百草丸」の発売の日です。
この「日野百草丸」は、平成27年に発売した「百草丸プラス」と同じ処方です。このたび、パッケージデザインを新しくして、製品名を「日野百草丸」にして、新発売いたします。新しい「日野百草丸」(旧名称「百草丸プラス」)がどのようにして作られたのか、開発当時のことを思い出しながら記述してみました。


●エンゴサク末の追加
百草丸は古くからの伝承薬ですが、新しいものを積極的に取り入れてより良い製剤を開発することは大切なことです。鎮痙鎮痛生薬として名高いエンゴサク末は、その配合量を加減(減らす)することで粘膜修復生薬としても使用されます。百草丸にこのエンゴサク末を加えて新しい百草丸を作ってみたいと考えたのが、平成20年頃のことでした。健胃生薬(オウバクエキス、ビャクジュツ末、ガジュツ末、リュウタン末、センブリ末)、整腸生薬(ゲンノショウコ末)に、粘膜修復生薬(エンゴサク末)を配合することで、健胃・整腸・粘膜修復の三つの働きが重なり合い、人間の自然治癒力を補うように胃腸の機能を整え、健康を取り戻すのに役立つのではないかと考えたのです。

従来6種類の生薬で構成されていた百草丸を、7種類の生薬で構成された百草丸にするために、まず、配合割合の検討から取り掛かりました。最適な配合割合を見出すため、配合割合の異なる何通りもの試作品を作り、製造性の観点から安定的に生産できることの検証を繰り返したのです。次に、決定した配合割合で各生薬が確かに薬効を示すことを実証しなければなりません。エンゴサク末については有効成分の含有量の試験方法の設定から取り組み、データをとり、規格(規定された基準値)に適合していることを確認しました。他6種類の生薬についてもそれぞれの試験方法でデータをとり、規格に適合していることを確認しました。さらに、製造工程や方法が正しいかどうかを検証するため、操作性能、操作条件、操作時間などのデータをとり、妥当性を検証し、品質が保たれることを確認しました。
6年もの時間がかかりましたが、製造・品管メンバーが役割を分担し、チームワークの力で、新たな製品を生み出すことができたと思っています。


●苦味と香りのコーティング
二次コーティング剤として噴霧するオウバクチンキは、従来の百草丸では、主成分のオウバクエキスに含まれる成分として扱われ、オウバクチンキとしての表示はありませんでした。しかし、新しい百草丸では、単独の薬効成分として成分分量を表示することになったのです。当社では、昭和の時代からオウバクチンキを二次コーティングし、丸剤を仕上げる製法をとってきましたが、時代を経て、ようやく、オウバクチンキが苦味健胃薬(生薬の苦味による健胃効果)として適正に扱われ、日の目を見ることになったのです。オウバクチンキは、板状のオウバク固形エキスを水で膨潤させ、溶解し、エタノールを加えて湯煎で浸出し、製造します。このオウバクチンキの製造方法や噴霧量の再検証のため、製造メンバーの傍らに立ち、作業を記録に留めましたが、液状のオウバクチンキは、暗褐色で漆のような光沢があり、芳しい天然の香りを放っていました。製造メンバーの気迫に満ちた確かな動作にも身の引き締まるような思いをしました。
「日野百草丸」1日量60粒中に含まれるオウバクチンキの量は、33㎎(原生薬換算量60㎎)となっています。箱にも瓶のラベルにも説明書にも成分分量としてオウバクチンキが記載されています。ご覧いただければ幸いです。

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●生薬の特性を最大限活かす

天然物である生薬原料の一つ一つには多くの薬効が含まれており、この丸ごとの効果がその生薬製剤の薬効です。これらの薬効を存分に活かすためには、生薬に負荷をかけてはなりません。無理のないバランスのとれた程よい状態を保ち続けて製造ができるかどうかが大事です。これにより、生薬特性が発揮されると考えているからです。製品づくりは、生薬の持つ本質を引き出すようにすることが大切で、新しい百草丸の開発においては、このことを念頭において製剤化に当たりました。日進月歩で進歩する現代は、ややもすると、自然界の摂理をもなおざりにしてしまう傾向にあるように感じていますが、どんなに時代が進歩しても「残しておかなければならない」「変えてはならない」ことがあり、60年以上も前から行ってきたオウバクチンキの二次コーティングは、決して変えてはならないことの一つと考えています。


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