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生薬の話

日本の民間薬 ゲンノショウコ

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 オリンピックが行われています。
 全身全霊を尽くして一心不乱に競技をしている選手の姿に、思わず声援をおくり、祈るような気持ちでテレビを見ています。
 一方、新型コロナウイルスの蔓延は留まるところを知らず、若い人々が多く罹患している現実に、一刻も早くワクチンの接種が受けられますようにと、願わずにはいられません。

 ここのところ、次から次へと課題が押し寄せ、解決をしなければならない作業に翻弄されそうになりながら、何とか目途を付けて日々を過ごしてきました。「歩みの鈍いカメ」なのですが、ゴールまで歩み続ける「歩みの鈍いカメさん」にならなければと思いながら・・・。

 さて、今回は、日本の薬草の中で最もよく知られている「ゲンノショウコ」について記述します。

 ドクダミ、センブリ、ゲンノショウコは、日本の三大民間薬と言われていますが、この三種のうち、中国で全く用いられないのは、センブリだけです。中国では、ゲンノショウコは「老かん草」、ドクダミは「魚せい草」の名で薬用とされています。

 ゲンノショウコは、フウロウソウ、ミコシグサなどと言われ、広い意味でのフウロウソウの仲間です。 ゲンノショウコの花は紅紫色~淡紅色のものと、白色のものがあり、関西には前者が多く、関東には後者が多く生育しています。当社のある木曽地域には、前者と後者の両方が見られます。成分的には差異はありません。分布は日本全土にわたり、北米にもわたっています。 果実は、五つに縦に開裂し、上方をくちばしのようにくるりと巻き上げて種子を飛ばす性質を持っていることから、その形が秋祭りのお神輿の屋根に似ているので、ミコシグサの別名があります。ゲンノショウコの名前も古く、その薬効が直ちに現れることから「現の証拠」と名付けられたのだといわれています。

 ゲンノショウコは、江戸初期頃から民間的に下痢止めに用いられてきたようで、日本で独自に開発された薬草ということができます。タンニン類を多く含み、その収斂作用と殺菌作用から大腸炎などの下痢に用いられるようになったようです。一般に下痢には、葉・茎とも15~20gを600mlの水で半量になるまで煎じ、1日3~4回に分けて飲みます。便秘症で、下剤を飲むと腹痛が起こり、便がすっきり出ない人にも用います。この時は、サッと煎じて冷やして飲むとよいでしょう。


 皆様、暑い毎日ですが、お体を大切にお過ごしください。

参考:難波恒雄先生著:「漢方・生薬の謎を探る」より

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