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薬食同次元

みかんの贈り物

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寒山も終盤を迎えました。御嶽山への御参りの上り、下りに弊社店舗にお立ち寄りいただいたお客様に感謝申し上げます。間もなく立春。暦の上では春の始まりです。木曽はまだまだ厳しい寒さが続きますが、ふと気づくと陽の光が優しく明るくなったような感覚を覚えます。

  

先日、四国にお住まいの通販のお客様より、箱いっぱいの柑橘類をお届けいただきました。箱を開けると、色とりどり、大小の柑橘類が沢山。甘くさわやかな香りがふわーっとしました。雪と氷にとざされ、零下の日々が続く極寒の木曽に、南国から温かい風が吹いてきたようで、とても有難くうれしく思いました。

早速お電話すると、「届いて良かった」と明るいお声がして、こちらも弾むような気持ちになりました。そして「昨年の年末にうれしいことがあったのよ、うちでは作物はすべて無農薬で育てているのだけど、みかんにアレルギーのような反応が出る人が、うちのみかんだけは美味しく食べられたと言ってくれたの、夏の草取りやら何やらが本当に大変だけど、苦労が報われたような気持ちがした」とお話をしていただきました。無農薬での栽培は本当にご苦労が多いと思います。それにご夫婦で毎年取り組まれていること、そして周りの方のお役に立ったことを大きな喜びとされていることが、何より素晴らしいことと思いました。

お話の途中で「今度はみかんを送るわね」とのこと。あれ?今回色々な種類のみかんとレモンをお送りいただいたと思っていたのに・・・と驚きました。お恥ずかしながらお伺いしてみると「送ったのはみかんではないのよ」とのこと。そしてみかんのことを色々教えていただきました。その後もお話を元に調べてみると、みかんについて知らなかったことが様々ありました。

  


みかんについて


  

■みかんとは

 みかんとは「ミカン科ミカン属の常緑小高木。また、その実」です。みかんには様々な種類がありますが、私たちが一般に親しんでいるみかんは「温州みかん(うんしゅうみかん)」です。温州みかんは収穫量が非常に多く、国内の柑橘類全体の約7割を占めます。

 温州とは、中国東部、東シナ海に臨む浙江省の柑橘類の名産地として知られる市です。しかし温州みかんの原産地は鹿児島県とされています。江戸時代初期に中国から鹿児島県に伝わった柑橘の種から偶然発生したといわれています。温州で育つ柑橘ほどおいしいということで温州みかんと呼ばれるようになったようです。明治時代以降、全国に広がり、有田みかん、西宇和みかん、青島みかんなどのブランド温州みかんが作られるようになりました。温州みかんの生産量は、現在和歌山県が1位、愛媛県が2位、静岡県が3位とのことです。

  

■みかんの種類には何があるか?

 では温州みかん以外にどのようなみかんがあるでしょうか? はっさく、いよかん、甘夏、橙(だいだい)、橘(たちばな)、柑子(こうじ)、ポンカン、かぼす、すだち、ゆず、ネーブルなどなど、様々な種類があります。温州みかんが各地に広がる前の明治の時代まで、みかんといえば紀州みかん(小蜜柑)が主流でした。紀州みかんは、お正月の鏡餅に乗せるような小さなみかんです。温州みかんの4分の1程度の大きさで、酸味が強く、各房に種があります。江戸時代に和歌山の豪商である紀伊国屋文左衛門が、暴風雨の中、江戸で不足していたみかんを船で運び、喝さいを浴びたという逸話がありますが、このみかんは紀州みかんだったと言われています。

  

■みかんの収穫時期と呼び名

 さてここから温州みかんのお話に戻ります。みかんは5月頃白い花を咲かせ、秋から冬にかけて収穫されます。驚くのは収穫時期が長いこと。一番早いものは9月頃、遅いものは3月頃まで収穫できるそうです。収穫時期によって名前が変わります。

  

極早生(ごくわせ):9~10月頃収穫されるみかん。皮は薄く、緑色から黄色で、小ぶりで身が締まって硬く、酸味の強い甘酸っぱい

早生(わせ):10~11月頃収穫されるみかん。皮は柔らかみを増し、色は黄色からオレンジ色で、甘味と酸味のバランスが良く人気

中生(なかて):12月頃収穫されるみかん。皮はやや厚めのオレンジ色で、大きく、酸味より甘味が強い

晩生(おくて):12月末から3月頃まで収穫されるみかん。皮は厚みのある濃いオレンジ色で、柔らかく、コクのある甘さ

  

■みかんと栄養

 みかんはビタミンCやクエン酸、ビタミンAなどが豊富です。更にみかんの薄皮や白い筋にはビタミン様物質のフラボノイドが含まれています。フラボノイドはポリフェノールの一種で、抗酸化作用などがあります。

 冬には「こたつみかん」が古くからの定番ですが、冬に不足がちな栄養素を摂ることのできる理にかなった暮らしの知恵とも言えます。

  


みかんの皮は生薬「陳皮」


  

さて、みかんの皮は、生薬「陳皮(チンピ)」として用いられます。

日本薬局方では陳皮について下記のように定義しています。温州みかんの皮を乾燥したものが生薬として用いられるということです。

  

「チンピ

Citrus Unshiu Peel

CITRI UNSHIU PERICARPIUM

陳皮

本品はウンシュウミカンCitrus unshiu Markowicz 又はCitrus reticulata Blanco (Rutaceae)の成熟した果皮である.」

  

陳皮には、芳香性健胃薬として胃の働きを整え、消化を促す作用があります。また血流を促し指先・足先などの体温を保つことから冷えの改善にも用いられます。弊社の御嶽山入浴剤にも陳皮を配合しています。更には、咳や痰、嘔気を鎮めることから風邪薬に配合されることも多い生薬です。何より柑橘類のさわやかな香りにはリラックス効果があり、これが身体の気を巡らせ、不調の改善につながります。

  

今の寒い冬の朝は、みかんを一つ食べることを日課にしています。まだ身体が起きていない時、または今日やることで頭がいっぱいな時に、みかんを食べると、ほどよい酸味と甘味で身体が目覚めるのと同時に、さわやかな香りでふーっと楽な気持ちとなります。食べるだけでなく、皮の香りもしっかりかぐように心掛けています。実とは違う良い香りがします。またみかん毎に香りが異なるのも楽しいことです。

  

冬の寒さが続きます。どうかお身体に気を付けてお過ごしください。

  

  

出典:デジタル大辞泉 / 農林水産省「特集1 みかん(1)」 / 伊藤農園「みかんな図鑑」 / 日本薬局方


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