>>会員登録いただくと生薬ブログ最新情報をメルマガにてお届けします!メルマガ登録で更に300ポイントプレゼント!

薬草の花

スベリヒユ(滑莧)【3月】

crude_drug_220301_suberihiyu_1.jpg

※スベリヒユ(滑莧)は八~九月に花を咲かせます。


畑の雑草、かつては食用に

(写真①:夏の後半から径7ミリほどの花をつける。黄色い一日花)

父母から聞いた話では戦中、戦後の食糧難の時代にはよく食べたそうだ。試しに、畑に生えているスベリヒユを採ってきて、茹でて食べたら思いのほか美味しかった。ごくわずかな酸味があり、ぬめりがなんともいえない。山野草を食する時のポイントのひとつに、食材のぬめり感は重要な要素だと思う。スベリヒユは嫌われ者の雑草だが、こうして食べてみて親しみが増した。スベリヒユの「滑り」の由来は、厚手の葉っぱがつやつやしているから、あるいは食べたときのぬるぬるした食感から、こうつけられたという。スベリヒユ科で、ヒユ科のヒユとは無関係である。ちなみに、ケイトウやイノコズチなどはヒユ科の植物である。ヒユはインド原産で、もともとは野菜として栽培されたものだというが、ひょっとしたら、スベリヒユとヒユは同じ味かするのではないだろうか。


五弁の黄色いかわいい花が終わると、やがて結実する。小人の帽子のような円錐形のふたがとれると、内部の小さな種子がばらまかれる。南アフリカ原産の観賞植物のマツバボタンもスベリヒユ科だが、この特徴的な形状を有する。

crude_drug_220301_suberihiyu_2.jpg

(写真②:花が終わると結実し、米粒ほどの小さな実をつける)

全草は「馬歯莧(ばしけん)」と呼ばれ、中国や東南アジアでよく使われる。民間で、清熱解毒、消腫薬として虫毒、創毒、丹毒などに用いられる。また、細菌性下痢の治療、予防に効果かあるという。煎液を湿布薬にして、湿疹や接触性皮膚炎に使うこともある。成分に、ノルアドレナリン、ドパミンなどのカテコールアミンなどのほかに未知の抗菌物質が含まれるらしい。


Portulaca oleracea

スベリヒユ科スベリヒユ属
別 名●イハイズル、トンボグサ
生薬名●馬歯莧(ばしけん)
【ミニ図鑑】日当たりのよい道端や畑によく見られる。地面を這うように伸びる

▶花期 八~九月


crude_drug_220301_suberihiyu_3.jpg(写真③:同じスベリヒユ科のマツバボタン。南アフリカ産)


出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


日野製薬オンラインショップ

>>会員登録いただくと生薬ブログ最新情報をメルマガにてお届けします!メルマガ登録で更に300ポイントプレゼント!