薬食同次元
キハダの実が熟しています
寒い日が続き、紅葉が日に日に鮮やかさを増しています。木祖村はカラマツ林が多く、カラマツは紅葉の最後の方に鮮やかな黄色となります。今はまだ緑が少し残るカラマツ林ですが、全て黄色になり葉が落ちると、厳しい寒さの冬が本格的に訪れます。もう少し色が変わらず、残っていてほしいと思いながら、山々の彩りの変わる様を日々楽しんでいます。
本社のキハダも落葉し、鈴なりの実がよく見えるようになりました。まさに実りの秋です。実は夏は緑色でしたが、秋の訪れとともに濃い緑色となり、今は黒くしわのある状態に変化しています。直径6~8mm程度の大きさで、まさに黒コショウのようです。10月半ばから、雨や風が吹くと、キハダの実が房ごと地上に落ちるようになりました。見つけた社員は拾って、風通しの良い所に保管し、乾燥するようにしています。
この実を食べてみると、柑橘系の甘みの奥に苦みを感じます。キハダはミカン科であることを改めて実感しました。6月頃の実は、山椒のようなピリ辛の味でしたが、随分と甘みが増しました。キハダには木によって甘くておいしい木と、苦みが強くおいしくない木があるそうです。本社のキハダの実はどちらなのか春からずっと楽しみにしていましたが、今回木祖村のキハダに詳しい方のところへ持参すると、「これは甘い実だわ」、と太鼓判をいただきました。大変うれしく思いました。
キハダの実はつぐみが食べることでも知られています。つぐみは10月頃シベリアから日本に大群で渡来する冬鳥です。雪が降り地上に食べるものがなくなると、木の上の実を食べるそうです。この時、つぐみもおいしいキハダの実から食べるとのこと。つぐみが食べている木はおいしい木だと分かるそうです。つぐみも沢山の木の中からどうして分かるのか、不思議です。
キハダに詳しい方から、キハダの実を採るよい時期は11月後半から12月初旬の初雪の頃、と教わりました。三つ理由があり、一つはやはりぎりぎりまで熟したものが良いということ、二つは白い雪の上に落ちた黒い実はよく目立ちすぐに採ることができること。そして三つ目はつぐみに食べられないうちに、ということです。おいしいキハダの実は、つぐみとの競争、人間もつぐみもおいしいものに目がないということかもしれません。
キハダの実は、木祖村では古くからキハダ餅にして食べます。雪が降る頃になったら作り方を教えていただく予定です。更に弊社では、実の中から種を取り出し、来年育苗してみようと考えています。いずれ育った苗木は植樹して、新たなキハダを育てていきたいと思います。
以上