薬食同次元
木曽の森と篠島のワカメ
緑がますます鮮やかではじけるような季節となりました。雨が降ると、緑が一段と濃く、美しさが増していきます。
5月8日には、木祖村でキハダの植樹を行いました。多くの方々にご協力をいただき無事に植樹を行うことができほっとしております。その後、折に触れキハダの様子を見に行くと、生育の様子が日に日に変わり、一喜一憂しています。植樹の翌日には雨が降りました。その後も2,3日に一度は雨が降っています。これまでは雨は憂鬱なものでしたが、最近では降る度にやった!という感じです。雨のお陰か、徐々に新芽が出てきました。植樹の際に葉が出ていた苗木は、一度枯れ落ちて、新たな芽が出てきました。まだ芽が出ていなかった苗木は、勢いよく青々と新芽が出てきました。まさに恵みの雨。雨のお陰でキハダに命が吹き込まれていくような気がします。これからの成長が楽しみです。植えてからたったの1か月ですが、学ぶことの多いキハダの森です。
さて先日、日頃大変お世話になっている方から、乾燥ワカメをいただきました。昆布と見まがうばかりの大きく立派なワカメです。愛知県知多半島の南の「篠島」で漁師をされているご親戚が採られたワカメとのことです。袋を開けるとぷーんと磯の香りがしました。早速いただくため水で戻すと、5分ほどで驚くような肉厚さとぬめりが出てきました。ワカメのぬめり成分は食物繊維で、水溶性のものは主にアルギン酸と言われています。折角の栄養分が水に溶けださないよう、早めに取り上げて、味噌汁にしました。大変美味しく出来上がりました。海なし県の長野県では、貴重な海の幸です。潮の香がしてくるような元気なワカメをいただき、お心遣いに大変うれしくなりました。
なお、篠島は、知多半島の南の離島です。信州からは遠く離れた地のように感じますが、冬の空気の澄んだ日には木曽の御嶽山が見えることがあるのだそうです。また、遠く感じるかもしれませんが木曽川でつながっていますよ、と教えていただきました。木曽川は長野県から岐阜県、愛知県、三重県を経て伊勢湾に流れ出ます。伊勢湾は三河湾とつながっています。篠島は三河湾にありますので、全てはつながっているのですよ、木曽川や木曽には深いかかわりを感じます、とお話しいただきました。
遠く250km以上も離れた篠島が木曽とつながっているとのお話に、何か大変うれしくなりました。弊社本社の所在する木祖村は、木曽川の源流に位置します。木曽の豊かな森が、栄養分を含む良質な水をつくります。この水が、上流だけでなく下流の生態系や暮らしに恩恵をもたらします。木祖村の森をしっかりと維持していくことが、おいしいワカメにもつながるのかもしれない。源流で暮らすものの役割を改めて感じる出来事でした。今回植樹したキハダも木祖村の森の一部です。生育を見守り、豊かな森に育ちますように、やるべきことをしっかり行っていきたいと思います。