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薬食同次元

木祖村のキハダ餅

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先日、カタログ通信販売の商品についてご相談するため、あるお取引先様にお伺いしたところ、お話が盛り上がり、どういうきっかけか、百草・百草丸の主原料の「キハダ」のお話になりました。キハダとはミカン科の高木で、その内皮が生薬オウバクです。お父様が、キハダの実を煮出して、もち粉と砂糖を混ぜて、「キハダ餅」を作っているとのこと。ええええ!とびっくりしました。そんな食べ方があるだなんて!

   

キハダの生薬オウバクは、苦いのが特徴です。苦くないのですか!?と尋ねると、「苦いと思うんですけどねぇ、親父はよく食べてますけどねぇ」とのこと。どんな食感なのですか?と聞くと、「もっさりした感じ」とのことです。キハダの内皮は粘性があるため意外です。そもそも、そのキハダの木はどこから?と伺うと、「家の近くに生えてるものだと思いますよ」とのこと。もう、興味津々です。

  

お父様は木祖村の村内に住まれています。山や木に詳しく、キハダの生育状況などにも詳しいかもしれないとのことです。息子さんから、よかったら親父のところに行ってもらって構いませんよ、と言っていただき、昨日早速お話を伺いに行ってきました。

  

「どなただったっけ?」と言いながら玄関で迎えてくださったお父様。日野製薬の者です、と言うと、弊社の創業者日野文平の村長時代の懐かしい思い出など、色々なお話をしてくださいました。

  

そして、キハダ餅について尋ねると、少し恥ずかしそうに、好きでねぇと言いながら、下記のように教えていただきました。

   

・秋の時期にキハダの実を採って煮だして、もち粉と砂糖を入れて作るcrude_drug_202012_kihadamochi2.png

・好きだから、そのままずっと食べたいけど、どうしても日が経つと悪くなる

・だから乾燥させて、粉状にして保存し、一年中食べている

・毎日スプーン一杯ずつ食べている

・そば粉やら、色々な粉で試してみたけど、もち粉が一番おいしい

・自分のキハダ餅は砂糖は控えめ。糖尿病になりたくないから

・富山に似ているお菓子があると聞いたことがある

  

苦くないのですか??と尋ねると、「いや、そのほんのり苦味がするところがおいしいんだよ」、とのことです。そうこうしている間に、お母様も出てこられて、「この辺の衆は昔から作って食べとるよ」、「ちょっと苦いのが何ともいえず美味しいんだよ」とお話いただきました。そして「お父さん、分けてあげましょ」と言って、粉末状のキハダ餅を小袋に入れて、持たせてくださいました。

      

また、村内のキハダの生育状況についても、様々なお話を伺いました。昔、弊社が味噌川ダム周辺にキハダを植林したこと、苗木を配布していたことについても覚えておられて、あの地区のあの辺にあるはずだから見に行ってみたらよい、と教えてくださいました。

   

更に、今年2月、近所の人に頼まれてキハダを切られたとのこと。良かったらそれも持っていけ、と箱一杯にいただきました。納屋から出していただいたそのキハダの内皮の鮮明な黄色に驚きました。2月に採ったとは思えないきれいな、美しい黄色です。木曽のキハダはやはり良いなぁ、と感激しました。

  

木曽に良質なキハダがあったからこそ、百草は古くから作り続けられ、今に伝わったものと考えています。百草は、木曽の豊かな自然の恵みそのものの薬です。木曽のキハダを使った百草・百草丸を作りたい、作り続けたい、との思いを新たにしました。

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いただいた木祖村のキハダ(2020年2月採取)

       

さて、お話を元に戻します。肝心のキハダ餅の粉ですが、持ち帰り早速いただいてみました。

口に入れると、柑橘系の香りと風味がして、美味しくてびっくり!キハダはミカン科の高木です。苦味は確かにほんのりと感じますが、それは、柚子の皮やオレンジピールのような感じで、何とも良い感じ。お父さん、お母さんが「その苦味が良い」とお話されていたことが良く分かりました。キハダの実の商品を何か作ってみようか、と思うほどです。

   

実はお二人のところへお邪魔する前に、別の方から「昔はお袋が良く作ってくれて食べてたよ、昔は食べるものが無かったから」「あまり美味しいもんじゃないよ」と聞いていたのですが、、、もしかしてあれは謙遜だったのかな???と思いました。まだお餅の状態は、見たことも食べたこともありません。木曽はもう冬ですから、来年の秋口には、ぜひ試してみたいと思います。

   

木曽の土地ならではの「キハダ餅」は、きっと「百草」と同様に、人々の生活の知恵から生み出され、長年伝えられてきたものだと思います。大切にしていきたいと思いました。

     

木曽の人らしい明るくて優しいお父さん、お母さんに色々なお話を伺い、本当に楽しくうれしい時間でした。お二人の木曽弁が何とも懐かしく、耳に心地よく、またお話に伺いたい!(お邪魔でなければですが!)と思いました。

  


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