薬食同次元
おはぎの味
木曽では寒さがぐんと増し、零下の日の続く今日この頃です。燃えるような紅葉も終わり、山の木々から葉がすっかり落ちました。枯れた木が山肌に立っている姿もまた精錬として美しく、心に残る風景です。一年を通してその変りゆく様を楽しませてくれるのが木曽の山々です。ピンと冷たい空気の中、静かにたたずむ枯れ木を見て、本格的な冬の訪れを感じています。
先日法事があり、母がおはぎを作ってくれました。おはぎは子供の頃から大好き、そして母のおはぎを食べるのは久しぶり。とてもうれしく思いました。「つぶあん」と「えごま」の2種類です。「つぶあん」には黒糖を、「えごま」には醤油を加えるのが母なりのこだわりです。「つぶあん」は塩味とコク、「えごま」は甘辛の懐かしい味わいがしました。
おはぎはお彼岸にお供えされます。今回その理由を調べてみると、小豆の赤色には魔除けの効果があり、邪気を払うと信じられてきたためとのことです。お餅は五穀豊穣、小豆は魔除けの意味を込め、ご先祖様への感謝の気持ちと無病息災を願ってお供えされるようになったそうです。
また、おはぎとぼたもちの違いは?の疑問も頭に浮かびます。こちらも調べてみますと、二つは基本的に同じ食べ物で、違いは食べる季節とのことです。おはぎは秋のお彼岸に、ぼたもちは春のお彼岸に食べられます。その由来は花の名前にあるとのことです。
・おはぎ:小豆が秋の七草のひとつである萩の花と似ていることから「萩餅」と呼ばれ、それが「おはぎ」に変わった
・ぼたもち:小豆を春の花である牡丹の花に見立て「牡丹餅」と呼ばれ、「ぼたもち」に転じた
秋に収穫したばかりの小豆は皮が柔らかいため、おはぎはつぶあんが多く、春は小豆の皮が固くなるため、ぼたもちはこしあんが多いとも言われているそうです。へーと思っていたら、これはNHKの人気番組「チコちゃんに叱られる!」でも取り扱われたことのある質問だそうで・・・。まさに「ぼーっと生きてんじゃねえよ!」の状態ですが、季節とともに生きる日本人らしい名付けであり、花の名前を餅につける豊かな感性が素晴らしいなぁと改めて感心しました。
さて、法事の日のお坊様の説話の中で、お経を聞きながら、ご先祖様に感謝し、つながりを感じてください、というお話がありました。おはぎを食べながら、家族、親戚のつながりを感じ、様々なことに感謝する一日となりました。
本社駐車場から見える風景
【参考とさせていただいた情報】
食育大辞典: https://shokuiku-daijiten.com/mame/mame-1374/
en park: https://en-park.net/books/7833