薬食同次元
キハダの生育調査にドローン活用

朝晩が肌寒くなってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。木曽谷では、澄んだ秋空が広がり、山々の紅葉が、風景に豊かで温かな雰囲気を加えております。
さて、弊社では今年5月、木祖村の山林内に天然更新のキハダを発見しました。キハダはミカン科の落葉高木であり、百草・百草丸の主成分です。天然更新のキハダとは、天然更新のキハダとは、植樹ではなく、自然と芽を出したキハダのことです。近くの母樹から実が落ちたり、鳥が運んだりして、芽を出します。見つけたキハダの横には竹棒を刺し、どこに生えているか分かるようにしました。その時点では1000本以上ありました。しかしまだ稚樹であり、その後無事に成長するものもあれば、しないものもあると想定されます。その生育状況の経年変化、生育しやすい場所などを、毎年定点観測のように確認していきたいと考えました。生育状況の詳細は人が確認しますが、俯瞰的に概況ならびにその変化を把握できないかと考えていました。
そうしたところ、信州大学農学部 准教授 梅澤公二先生とお話をさせていただく機会がありました。梅澤先生は、毎年、学生の皆さんとキハダ植樹やキハダ皮むきに参加いただいています。今年度から「農DX教育研究推進拠点 教育部門」をご担当されることとなり、ドローンで撮影した画像を解析し、農林業に活かす先進教育プログラムの開発に着手されたばかりということでした。そこで、天然更新のキハダについてご相談し、ご一緒にドローンを使ったキハダの生育調査を行うこととなりました。
10月に梅澤先生、生徒の方と、木祖村の山林内で二つの場所を訪れ、実際にドローンの飛行検証を行いました。
一か所目は、今年の春に天然更新のキハダを見つけた場所です。林の中に入ると、春には30cmにも満たなかったキハダが、人の背丈より大きくなっていて、大変驚くとともに感激しました。少し離れたところからドローンを飛ばしていただくと、あらかじめ設定していた経路の通りに自動運転で飛行し、写真や動画の撮影を行いました。ドローンが高性能であることにも驚きました。
二か所目は、今年の5月にキハダ植樹を行った場所です。こちらでもキハダが無事に活着し大きく育っていました。遠く目視できる範囲に電線があったため、危険のないエリアを対象に、手動運転で低空飛行しながら撮影を行いました。
現在、撮影したデータの解析を行っていただいています。キハダを上空からの画像で識別することができれば、生育調査の質、効率が向上します。キハダの植生分布やキハダの成長過程における変化を知ることは、私どもに大きな学びを与えてくれると期待しています。大変わくわくしています。
間もなく年末年始が訪れます。今年も多くの皆様のご愛顧に心より感謝申し上げます。来年もお客様のご健康長寿に寄与する良質な製品とサービスのご提供に努めてまいります。徐々に寒さが厳しくなりますが、どうかお身体にくれぐれもご自愛されて、良い年末年始をお過ごしになりますようお祈り申し上げます。
日野製薬株式会社
代表取締役社長 石黒和佳子


