生薬の話
御嶽山入浴剤のご縁

木曽谷では、木々が黄や赤に色づいています。毎日彩りの変わる山の景色を楽しみながら、秋の深まりを感じています。
日野百草本舗 奈良井店が8月11日にリニューアルオープンしてから約3ヶ月が経ちます。「自然の恵みで健やかに」をテーマとする奈良井店では、百草、百草丸などの製品販売を基本とし、併設するカフェでの喫茶提供、セミナーや体験の開催などを徐々に開始しています。多くのお客様に訪れていただいていますこと、心より感謝しております。奈良井店は、弊社にとりまして、多くの方々とご縁を結び、広げてくれる有難い場所でもあります。
先日弊社の「御嶽山入浴剤」について、奈良井店で大変心に残る出会いがありました。ある日、お客様より「御嶽山入浴剤のパッケージの『御嶽山』の文字は、私の同級生が書いたものですよ」とお話していただきました。御嶽山入浴剤は、約30年前に発売した製品です。当時の記録はあまり多く残っていません。大変驚き、詳しく伺いました。すると、ご友人は、書家の細野静耀様で、長野県に在住されているということでした。早速細野様にご連絡をさせていただき、10月中旬に、奈良井店にお越しいただきました。
細野様は、石飛博光氏に師事され、現在はご自身の作品製作のみならず、静鐘会主宰として書道の指導、普及に務められています。また、長野県の地域紙「市民タイムス」で、コラム「言の葉」の執筆を担当されるなど、幅広いご活躍をされています。書家として独立される前に、広告代理店に勤務されていました。弊社が御嶽山入浴剤を発売する際にパッケージのデザインを依頼した広告代理店に在籍されており、ご担当者として「御嶽山」の文字を書いていただいたということでした。
御嶽山入浴剤は、百草・百草丸の主成分である生薬オウバクをはじめ、全八種類の生薬を配合しています。御嶽山に登拝される方も多く、賑わいにあふれていた約30年前に、御嶽山麓の直営店の重要製品の一つとして、力を入れて作ったと思われます。その後、長年に亘り多くのお客様にご愛用いただき、現在に至ります。
細野様は、当時のことを鮮明に記憶されていました。いくつかのデザイン案が事務所の机に置いてあった光景を覚えている、発売当初は筒状のパッケージで、和紙のような紙が巻かれていた、その紙の地色はベージュで上下が灰色だった、など、様々なお話をしてくださいました。
実際に、御嶽山入浴剤の初代製品は、筒状のパッケージでした。このたびのご縁を受けて、製品の保管庫から取り出してみると、アルミまたはステンレスのような金属製の筒に、地色がベージュ、上下が灰色で、真ん中に「御嶽山」と書かれた紙が巻かれていました。配合生薬は今と変わりません。しかし当時は1包あたりの内容量が31gと、現在の2倍あり、筒の中に14包入っていました。発売から数年経ち、現在のような袋状のパッケージに変更となりました。細野様より「数年経って現在のパッケージに変わったが、『御嶽山』の文字は変わらず使っていてくれてうれしい、若い頃の自分に出会えたような気持ちがする」とのお言葉もいただきました。袋状のパッケージに変えても、勢いのある「御嶽山」の文字はそのまま使わせていただきたいと考えたのではないかと思います。またおじい様が御嶽山に登拝されていたというお話も伺いました。「六根清浄」の言葉が幼少期からのご記憶として頭の中に残っているそうです。このためか、現在もテレビ局などの依頼で、御嶽山に関係する文字を書かれる機会が多いとのお話もお聞きしました。
30年の月日を経て、再びご縁の糸がつながり、お会いできましたこと、大変うれしく思いました。そのきっかけが「御嶽山」の文字であったこと、リニューアル後の奈良井店での偶然の出会いであったことも、感激ひとしおです。時を越えた、深いつながりを感じました。
御嶽山入浴剤は、オウバク・ドクカツ・トウキ・センキュウ・シャクヤク・チンピ・ガイヨウ・コウカの八種類の生薬を配合しています。身体を温め、血の巡りを促し、痛みを緩和する天然の生薬が、入浴効果を高め、体を芯からじっくり温めます。刻みの生薬がそのまま入った生薬100%の御嶽山入浴剤は、香り高く、薬湯気分をご堪能いただけます。徐々に寒くなってまいりました。よろしければご利用いただき、厳しい冬を乗り越えていただきたいと思います。
日野製薬株式会社
代表取締役社長 石黒和佳子


