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薬食同次元

「ものをつくる」ということ

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 「ものをつくる」ということは「そのものを生み出す」ことで、その作り上げる過程では「生みの苦しみ」が伴うものですが、私たちが心を込めて全エネルギー(魂)を注いでつくり上げたものには崇高な魂が宿るものと思っています。

  

 2024年6月29日に開田高原において『キハダの皮むき』が行なわれ、翌30日には木祖村村民センターで『木曽の未来へ』と題して座談会が開かれました。この座談会には渡邊智恵子氏、須藤玲子氏、吉岡更紗氏にご登壇いただいたのですが、御三方とも重労働を顧みず『キハダの皮むき』に志願され、自然からの恵みのキハダのエネルギーを体感するためにお越し下さったのです。揺るぎのない信念を貫き通して「ものをつくる」ことをお仕事とされ、長年経営者として歩んでこられた女性リーダーです。

 キハダの皮むきの感想をお尋ねすると「自然の色の鮮やかさに、その香りに、生きているものの命を頂くということを実感した。この命をしっかり使わせていただきます。」「開田高原一帯がミカン科のキハダの香に包まれ、皮むき時にはヒャク、ヒャクって音がした。キハダの水の音。きれいな天然の色が光ってた。」「キハダは昔から使われている染料の一つ。キハダで染めた紙は虫食いしない。自然の染料を扱うことを生業としている。だから健康です。」と。

 座談会では目を見開かされるような闊達なご提言を伺うことができました。「自然と共生し、ものをつくり、そしてそれを継承する」という尊い精神性が流れていることに感動しています。私共に未来を拓く道筋をお示し下さったものと思っています。久しぶりに心躍るような豊かさを味わっています。深く感謝申し上げます。

  

 さて、今回は、着工から100年以上を経ても未だ建設中の「サグラダ・ファミリア」について、そしてこの大聖堂をつくることに心血を注ぎ込んだ建築家の「アントニオ・ガウディ」について、1979年にスペインのバルセロナに渡りアンダルシアの石工たちに交じりこの大聖堂に設置する彫刻をつくり続けてきた外尾悦郎氏の著書『ガウディの伝言』の中で氏が語っているその内容のほんの一部を紹介させていただきます。

  

 「サグラダ」は「聖なる」、「ファミリア」は「家族」、「イエス」と「聖母マリア」と「養父ヨセフ」の聖家族に捧げる罪を贖う貧しき者たちの聖堂が「サグラダ・ファミリア」です。サグラダ・ファミリアの建設は1882年に始められ、その一年後に主任建築家になったのが「アントニオ・ガウディ」です。ガウディは人間がつくり得る最高のものを神に捧げようと建物や彫刻などの造形物だけでなく光や音も組み合わせてサグラダ・ファミリアを構想しました。有機的な造形と豊かな色彩が特徴でもあります。そして、その設計者としてのガウディの意思を継ぎ、その完成を目指して、現在も建築が続けられています。

  

 外尾氏は「見たこともない高さまで積み上げられた石の構造体。しかもそれが建物の常識からかけ離れた形をしていて石の怪物のようにも見えるのです。遠近法が狂ってしまうほどの存在感。」と語っています。さらに「ガウディは一般的に狂気の造形家のように思われていますが、私がサグラダ・ファミリアを内面から見てきて感じていることは、シンプルかつ明晰な建築家であり、そのものづくりの考え方は、一つずつ組み立てていくということが基本になっていたと思います。構造やデザインがそれだけのためにあるのではなく、常に機能と象徴を豊かにするように考えられている。必要な機能と象徴を組み合わせて両方を同時に解決する構造とデザインを考えていく。その形がまた次の問題を解決する時の一つの条件となり、新しい構造やデザインが生み出されていく。そういう思考を膨大に積み重ねていった結果がサグラダ・ファミリアではないかと思います。こうした大きな全体としての機能と象徴を見据えながら、各部は一つずつ組み立てていく。それがサグラダ・ファミリアの構想の進め方だったと思います。ガウディはその作業を徹底してやりました。」「その思考を助けていたものはおそらく模型です。ガウディは常に小さな実物をつくりながら考える人でした。そしてもう一つ思考を助けていたのは、おそらくプロポーションの基準数値です。紙の図面はスペイン市民戦争で焼かれてしまいましたが、図面が石の中に込められていると気付いたのです。」

  

 「サグラダ・ファミリアでもっとも重要な基準数値となっていたのは、7.5mと17.5mです。その比例数を縦糸、12進法的なシステム(と10進法的なシステム)を横糸として一見複雑なサグラダ・ファミリア全体のプロポーションがほとんど決定されているのです。たとえば、聖堂の柱と柱の間隔は基本的にすべて7.5mです。一番低い柱の高さが15m。7.5mの二倍。大窓までの高さが22.5m。三倍。生誕の門、受難の門から入って酒祭壇に至るまでの側廊の長さが30m。四倍。側廊部の屋根の高さが37.5m。五倍。・・・最終的に十二倍すると90m。サグラダ・ファミリアの正面入り口に当たる栄光の門から一番奥にある祭室までの距離になります。細部に目を移してみても、ロザリオの間の柱の直径は17.5㎝です。それを十倍した175㎝が柱の高さ。その百倍にあたる175mがサグラダ・ファミリアで最も高いイエスの塔になります。」

  

 そして「こうした明快な基準数値と幾何学的なシステムが研究の成果として明らかにされてきたことにより、サグラダ・ファミリアの建築は以前よりもはるかに進めやすくなりました。」とあります。

  

 また「ガウディは現代の効率至上主義とは全く違う、本当の意味での合理的な精神を持っていた人だと思います。古いか新しいかにかかわらず、その時ある方法の中から最高のものを選び取り組み合わせているのもそうですが、当時は奇妙に見えたもの、たとえば、地面から掘り出した石や破砕タイルによる曲面の被覆、廃材を利用するエコロジカルな建築など、無駄のないつくり方をしていた建築家であり、今日ではそのことが地球のために疑いもなくよいこととされている」とも語っています。

  

 外尾悦郎氏の著書『ガウディの伝言』の中には、まだまだ多くの貴重なことが記述されていますが、長くなりますので、このあたりでと思います。

  

 なお、当初は完成までに後300年はかかると言われていたのですが、2025年に「聖母被昇天の礼拝堂」が完成し、2026年にはメインタワーの「イエス・キリストの塔」が完成すると発表されています。全体が完成するのが2034年ごろと見込まれています。


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