薬食同次元
農地を守る
春のゴールデンウィークです。草花や木々は暖かな日差しを浴びてグングン生長しています。人々は普段とは異なるそれぞれの目的に向かって活発に活動しています。私も何となく心浮き浮きして、車で2分ほどのJA長野の農産物直売所に行き、たくさんの野菜を買い込んできました。赤紫色のラディシュは「畑でのびのび素直に育ったからおいしいよ」という店の人の言葉に思わず買ってしまったのですが、薄くスライスして塩もみをしただけで口中に春の陽気が広がりとても美味しく「やっぱり春っていいな」「大地の生命力をいただくっていいな」と感激しています。
さて、先日、"先人からの大事な預かりもの『季刊地域』"(一般社団法人農山漁村文化協会発行)という冊子が目に留まりました。「使い切れない農地活用。農地を守る。誰が?何で?どうやって?」とタイトルにあります。
【誰が?】
従来は農地法により定められた下限面積以上の農地を取得しなければ新規就農ができなかったが、昨年4月にこの法律が廃止され、仕事をしながら農業を楽しみたい方や定年退職後の健康維持のために狭い農地を取得することが可能になった。この施策が将来的にどうなのかは今後の課題だが「狭小な遊休水田の解消」「新規就農にも追い風」等の効果が現れ始めているとのこと。
【何で?】
たとえば以下の品目で粗放利用が行われている。
ヘーゼルナッツ:寒さに強く栽培が簡単で耕作放棄地でも育つ。イタリアピエモンテ地方のヘーゼルナッツ農家には「いくら下手な剪定でもあらゆる施肥に勝る」との格言が伝わっているとのこと。輸入ヘーゼルナッツは油の酸化といった鮮度の問題から味覚に繊細なパティシエから注目され、このヘーゼルナッツ入りのアイスクリームも販売していて大人気とのこと。
ダッタンソバ:耕作放棄地で有機栽培。ダッタンそばはポリフェノールの一種のルチン含有率が高い。ルチンには血管を強くしたり抗酸化作用があり、健康効果が期待される。自殖製作物のため、ふつうのソバと違ってミツバチの力を借りずに自家受粉し、そのおかげで冷涼地での栽培に適しており、広大な面積で栽培できる。
イタドリ:草取り不要で獣害も少なく、高額な機械が不要でもあるため、高齢者でもできる休耕田活用が可能。イタドリはタデ科の多年草で、各地で若芽を油炒めして食べる。木曽地域でも食べる。
ヨモギ:増やすのは簡単でまさに粗放栽培。食用ヨモギを業者に、また乾燥ヨモギを薬草の会社に出荷。
ヒツジ:手に余る農地の草刈りも、転作牧草の収穫にも活躍。ヒツジは農地管理の救世主。癒し効果も発揮。
【どうやって?】
いきいき農地バンクの活用
農地バンクを利用することで離農者や不在地主が増えても地域の農地の継続利用ができる。高齢農業者を支えたり、半農半業の受け入れにも役立つ。
農村RMO(RMOとは地域運営組織のこと)
農家、非農家が一体となり様々な関係者と連携し地域コミュニティの機能を維持、強化し農地保全を図っていくための組織。たとえば貸農園などの運営等。
中山間地域等直接支援制度
農地利用を継続・発展させるための資金源。
最適土地利用総合対策
守るべき農地と守り切れない農地を明確化し、有効な土地利用の方法を検討し、基盤整備し、支援する。
先人からの大事な預かりものの農地を未来に引き継いでいくためには、農家もそうでない人も力と知恵を出し合い支えあうことが大切であることをあらためて学びました。
今朝のテレビニュースで黄色い菜の花が一面に咲く広大な土地が映し出されました。長野県佐久市の遊休農地の活用とのことで、この咲き誇る菜の花から菜種油を採取するとのことでした。