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薬草の花

ノビル(野蒜)【6月】

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※ノビルの花期は5月~6月です
食欲増進させる風味、漢方にも

(写真①:茶褐色のムカゴと、不規則に伸びて咲く白い小花)

ユリ科ネギ属の植物の多くは畑で栽培されるが、たまにアサツキを山里の傾斜地で見かけることがある。さらに、ノビルは人里近くの土手や草原などいたるところに生えている。子どものころ、よくノビルを採ってくると、母か味噌炒めにしてくれた。父か晩酌の肴に喜んで食べてくれたことが、私を酒好きにした理由かもしれない。今も、ノビルを食べると、昔懐かしい記憶かよみがえる。


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(写真②:早春、土手などによく群生し鱗茎は薬用、食用になる)


ノビルは、初夏に花弁の周囲に淡い紅色を帯びた白色の花を咲かせ、放射状に咲く花の付け根に茶褐色のむかご (珠芽)をつける。採取するには、群生して生えている、弓なりに曲った細長い葉を探すと見つかる。地下の茎の部分は意外に長く、子どもが道具も使わずに球根 (鱗茎)をつけて採るのは難しかった。カまかせに引き抜くと緑の葉だけ抜けるので、食用にするには鱗茎が欲しい。

中国で「薤白」(がいはく)と呼ばれる生薬は、 ラッキョウの鱗茎を乾燥させたものだが、 ノビル (生薬山蒜(さんさん)) も使われる。漢方では気の流れを良くし、止痛の効果があるとされ、胸痛、腹痛、心窩部(みぞおち辺り) の不快感、悪心、下痢に用いられる。


ノビルをはじめ、ネギ、ニラ、ニンニク、ラッキョウなどのネギ属の辛みと風味成分は硫化アリルに由来する。胃を刺激して食欲を増進させるが、生のままで食べ過ぎると消化管を傷めるので注意が必要である。さらに硫化アリルは犬や猫に与えると貧血を起こすと言われており、これら、ネギ属の野菜はペットには与えない方が良い。

Allium grayi ユリ科ネギ属

【ミニ図鑑】中国原産で、有史前に渡米したらしい。蒜(ひる)とはネギ属の総称 

 ▶花期 5~6月

crude_drug_240601_nobiru_3.jpg(写真③:ノビルとともに春の山菜として親しまれるアサツキの鱗茎)


出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


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