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薬食同次元

植物の生き方

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 雨模様の日が続いていますが、福寿草やクロッカスやスイセンの花が咲き、レンギョウや雪柳の枝には黄色や白色の花の蕾がついて、桜の枝もほんのり紅くなり、植物たちはみな雨の恵みをいただくことできれいな花を咲かせようとしています。春はもうそこまで来ていることを感じます。

  

 右の写真は、我が家に40年程も前にやってきた観葉植物です。私どもが長期不在の折には亡き母が、ちょっとした不在の時には息子や娘が水やりをして、ずっと一緒に暮らしてきました。私が声掛けをすると一生懸命背伸びをして葉をこちらに向けて挨拶をしてくれるような気がします。「元気だね」「きれいだね」とほめると、それに応えるように葉っぱが輝きを増すような気がします。水やりをして、株分けをして新しい土に植え替えをしてきましたが、声がけが途絶えると元気をなくすような気がして、いつの頃からか声掛けをするようになりました。毎年暖かくなると決まって白い花を咲かせ始めます。私は友達のような気分で眺めたり話しかけたりしています。

  

 植物は、本当は、私たちが考えるよりもずっと研ぎ澄まされた感覚のようなものを備えているような気がしていましたが、つい先日『植物は知性をもっている』という本に出会い、その思いが益々強まりました。

  

本の扉書きには、

 「植物に知性はあるのか?」この問いをめぐって、はるか昔から論争が繰り広げられてきた。トマトは虫に襲われると、化学物質を放出して周囲の仲間に危険を知らせる。マメ科の植物は細菌と共生し、それぞれにとって必要な栄養分を交換しあう。動けないからこそ、植物は植物独自の"社会"を築き、ここまで地球上に繫栄してきた。・・・

とあり、思わず、植物学者のステファノ・マングーソ、サイエンスライターのアレッサンドラ・ヴィオラ共著のこの本を読み始めました。

  

 人間は地上に現れた時からずっと植物とともに生き恩恵を受けてきたのにもかかわらず、植物のことがよく分かっていない。実は、植物は感覚を備えた生物で、優れた戦略を用いて難題を克服し、今日まで生き延びてきたのではないか。植物は植物として生まれた時点で口もきけないし移動することも出来ないというような多くの不自由を抱いているけれど、「問題を解決する能力」それを「知性」というならば、人間のように脳は持たないが、外界から与えられた刺激に対して適切に対応する「知性」を持ち合わせている。動物と違う生活スタイルではあるが「定住民」として進化し、視覚、臭覚、味覚、触覚、聴覚等々の多くの感覚があり、植物同士のコミュニケーション、動物と植物のコミュニケーションをとりながら、独特の生態学的ニッチを作り上げ、うまく共生している。・・・

  

 上記は本の内容の極々一部ですが「なるほど、なるほど」と思い当たることがあります。最近、約40年一緒に暮らしている観葉植物をこれまでと違う部屋に移し、大きな観葉植物の隣に置いたところ、先にその部屋にいた大きな観葉植物に遠慮して縮こまっているのです。「大丈夫よ」と声掛けをして、ようやく1週間ほどして、いつもの伸びやかな姿を取り戻したのです。

  

 この『植物は知性をもっている』を読む前には「気のせいかしら」と思っていたのですが、どうやら「本当らしい」と思うようになりました。植物は見た目ほど"受け身"ではなく、個体として自発的に生きており、一般的に考えられているよりもずっと優雅で賢い生物なのではないかと思い始めたのです。

  

出典:『植物は<知性>をもっている』ステファノ・マングーソ、アレッサンドラ・ヴィオラ共著、マイケル・ポーラン序文


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