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薬草の花

キササゲ(木豆)【3月】

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※キササゲ(木豆)は六~七月に花を咲かせます。

ササゲのような鞘、利尿薬に
(写真①:垂直に伸びる大きな花序。淡クリーム色の花はよく目立つ)

中国原産の落葉高木で、信州でもよく見かける。秋に野菜のササゲのような長く垂れ下がる鞘(さや)【果実】をつけるので、マメ科の植物と思われるがノウゼンカズラ科である。そういわれてみれば花も葉もマメ科とは異なる。

晩秋になって葉を落とすころ、細長い鞘は茶色くなって枝先に吊り下がり、乾燥して二つに裂開すると、中から両端に毛状の翼を持った種子か飛び散る。さらに、鞘は冬になっても木に残り、風に乗って種子を飛ばし続ける。枯れた鞘はいつまでもついていて、翌年の若葉が茂り、花が咲くころまで残っている。あまり美しい姿ではないが、この植物の逞しさを感じさせるエピソードである。



完熟して褐色になり始めた鞘を採取して日干ししたものが「梓実」(しじつ)で、民間で利尿薬として用いられてきた。

成分にはパラオキシ安息香酸のほかにイリドイド配糖体のカタルポシドが含まれ、さらに多量に含まれる硝酸カリウムとの複合作用により強い利尿作用をもたらす。漢方薬としての利用は限られているが、日本では腎炎をはじめとする各種浮腫に広く用いられてきた。しかし多量に服用すると悪心、嘔吐、徐脈(不整脈の一種)などの副作用か現れるので注意が必要である。



キササゲは高さ十メートルにもなる高木だが、さらに樹高が高く、幹も太く胸高直径が五十センチを超すアメリカキササゲが民家の庭に植えられているのを見かける。中野市西条にはアメリカキササゲの大木があり、この木は毎年たくさんの花を咲かせてくれる。クリーム色の花はキササゲより淡く(むしろ白色に近く)、花も大きく美しいので観賞用に導入されたらしい。

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(写真②:秋になると鞘も伸びてくる。前年のサヤも落ちずに残る)

Catalpa ovata
ノウゼンカズラ科キササゲ属
生薬名●キササゲ、司梓(しじつ)
【ミニ図鑑】花は美しく、果実もユニーク。薬効を期待してか広く植えられる。

▶花期 六~七月

crude_drug_230301_kisasage_3.jpg(写真③:深山の樹林下に自生するショウキラン。葉はない)


出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


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