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薬草の花

アマドコロ(甘野老)【5月】

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釣鐘形の花、行儀よく並ぶ
(写真①:子どもたちが行儀良く並んだようなアマドコロの花)

  

アマドコロの花姿は、斜めにすっと伸びた茎に、長楕円形の葉が交互にいついている。葉の間から二輪ずつ垂れ下がる釣鐘形の白みがかった花は先端だけが淡緑色で、茎に沿って行儀良く並んだ姿は風情がある。ヤマイモ科のトコロ(オニドコロ)の根が苦いのに対し、甘いトコロという意味で、こう名付けられた。
 
アマドコロとよく似た植物にナルコユリがある。アマドコロの茎は六稜角であるが、ナルコユリは丸みを帯びているので区別できる。どちらも長野県内に広く分布するが、ナルコユリの方が暖地性で、花が一ヶ所に三個以上つけることが多い。どちらも薬用植物として知られている。ナルコユリのいわれは、言わずと知れた田んぼで雀脅しに使われる「鳴子」である。一方、全県の里山に多いミヤマナルコユリは茎に稜角があるが、やや小ぶりである。
 
アマドコロの根茎を干したものは「蕤(いずい)」(別名玉竹(ぎょくちく))で、ナルコユリの根茎の生薬名は「黄精(おうせい)」である。生薬として、両者には形や味に多少の差があるようだが、薬効は似ている。成分は、粘液質(マンノース)、配糖体、アルカロイドなどである。ナルコユリは江戸時代に滋養・強壮薬としてブームになり、砂糖漬けにした黄精が売られた。現在でも東北地方ではそのエキスを入れた黄精飴が売られている。アマドコロの生薬名の萎蕤は、「しおれる」と「垂れ下がる」を意味する。花の咲く様子からこう名付けられたようだ。

  

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(写真②:アマドコロの根茎。干したものが生薬萎蕤) 

  
Polygonatum odoratum var. pluriflorum
ユリ科ナルコユリ属 生薬名●萎蕤(いずい)
【ミニ図鑑】山地や野原などに自生するが、薬用や観賞用にも栽培される
▼花期 四~六月

  

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(写真③:近縁のミヤマナルコユリ。花はよく似ている)

  
出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


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