薬草の花

アジサイ(紫陽花)【6月】


淡い色の大輪、雨に打たれ趣き

写真1:栽培されるアジサイ。花はすべて装飾花で実を結ばない


アジサイはガクアジサイの両性花がすべて装飾花に変わった園芸品種で、ガクアジサイの仲間は県内にはヤマアジサイとエゾアジサイなどが自生している。

エゾアジサイは多雪地帯に多く、中南部に多いヤマアジサイより葉や装飾花が大きい。


日本産のアジサイは十八世紀にヨーロッパへ渡り品種改良され、現在では多くの品種が逆輸入されている。

シーボルトが愛人のお滝さんにちなみH・オタクサと命名したことは有名である。

花の色は土壌の酸性度や開花日数により赤や青に変化する。

梅雨の時期に、淡い色合いの大輪の花が雨に打たれる姿は趣きがある。


アジサイの生薬名は「紫陽花(しようか)」で、花を採取して陰干ししたり、枯れた花を採取してそのまま煎じて解熱薬として使われてきた。

成分はヒドランゲノール配糖体やサポニンなどである。

サポニンは、時に中毒の原因となるので注意が必要だ。

また、葉に青酸配糖体が含まれる種があり、哺乳動物が食べると中毒を起こすことがある。

一方、同じユキノシタ科のジョウザンアジサイはマラリアの治療薬として知られ、アジサイ属の植物には抗マラリア作用を持つ成分があるらしい。

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【ヤマアジサイ】


同属のアマチャ(甘茶)の葉は甘味料として使われる。

採取した葉に水をうって、ひと晩ぐらい寝かせて醗酵する。葉の中の甘味成分であるフィロズルチンは配糖体として含まれているため、醗酵により加水分解され甘味がでる。

四月八日の花まつりに誕生仏に注ぐのは、この甘茶である。


Hydrangea macrophylla form. macrophylla ユキノシタ科アジサイ属

生薬名●紫陽花(しようか)

【ミニ図鑑】花弁のように見えるのは萼片で花弁はごく小さい

▶花期 六~七月

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【アマチャ】


出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)

   市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)