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薬草の花

ノイバラ(野茨)【7月】

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芳香のある白い花、棘(とげ)も多く
(写真①:密生した花は美しいがよく繁茂し、小道をふさぐ)


 野原や道ばたなどに純白のノイバラの花が咲き始めると、初夏の訪れを感じる。日本各地の山野に多く自生するノバラの代表種で、 一株に花がたくさんつき、純白の花がまとまって咲く姿は美しい。花は白い五弁花で、枝先にまとまって円錐花序をつくり、芳香がある。この香りのよさから、よくハチなどが訪れる。だが、枝には棘(とげ)が多く、刈り払ってもすぐにまた繁茂するため、山野で作業をする人にはきらわれる。そして、われわれ藪(やぶ)こぎ専門の山屋(登山愛好家) にとって、ノイバラの藪は厄介者である。無理に通り抜けようとするとあちこちひっかき傷だらけになる。


秋、葉が落ちるころに直径六~九㍉ほどの赤い球形の実をたくさんつける。薬用には赤く成熟する一歩手前の、少し青みがかったものを採取し、それを乾燥させたものが「営実」(えいじつ)という生薬である。成分はフラボン配糖体(ムルチフロリンなど)と、紅色素のリコビンなどである。漢方では通便、利水消腫、活血、解毒の効用ありとされ、利尿、便秘下剤として使われる。


バラの仲間は世界中に広く分布する。ヨーロッパで「童(わらべ)は見たり 野中の薔薇」とゲーテが詠んだのは、日本のノイバラの近縁であろう。さらに、鑑賞用に世界中で栽培されるバラは一万品種以上ともいわれる。日本のノイバラはたいへん丈夫なため、西洋種を含む観賞用パラの接ぎ木の台木として使われる。ほかに長野県にゆかりあるバラ属の樹木として、高山に自生するタカネパラとオオタカネバラかある。いずれも淡い赤紫色の美しい花を咲かせ、愛好家に人気がある。

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(写真②:晩秋の真っ赤な果実。薬用には青いころに採取する)


Rose multiflora バラ科バラ属 別名●ノバラ 生薬名●営実(えいじつ)

【ミニ図鑑】 花言葉は「素朴な愛」「無意識の美」など。刺のせいか「偽りの恋」も・・・。

▶花期 五月~六月

crude_drug_230701_noibara_3.jpg(写真③:高山に自生するタカネバラ。美しい大輪の花)


出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


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