生薬の話
キハダ植樹~未来へつなぐ~
2023年5月、日野製薬ではキハダの植樹を行いました。百草、百草丸の主原料はキハダの周皮を除いた樹皮である生薬オウバクです。キハダは成長に約25年の歳月を要します。一方、国内産のオウバクは年々採取量が減少しています。木曽の豊かな自然と風土の中でキハダを大切に育て、将来の薬づくりに生かし、多くの方々の健康長寿にお役立ていただきたいとの願いを込め、日野製薬ではキハダの植樹に力を入れ取り組んでいます。3年前から地域行政、教育機関、団体、企業のご協力をいただき、毎年5月に大きな規模で植樹を行っています。本年も多くの方々のご支援、ご協力をいただき植樹を実施しましたこと、心から感謝しております。
5月2日、木曽町日義の山林に1,000本のキハダ苗木を植樹しました。個人の方が所有されるこの山林は、営林署に勤めていたおじい様が大切に管理されていたとのことです。山とともに暮らす木曽の先人の息遣いが感じられるような美しい山林を、未来の百草、百草丸づくりのためにとご提供いただきました。総勢32名の方々が、懸命に穴をほり、一本一本苗木を植えていただきました。参加された信州大学の学生の方々から、「キハダの根が黄色いことに驚いた、初めての植樹は楽しかった」との感想をいただきました。
5月16日には、木祖村立木祖小学校の5年生、及び木祖村もいちど小中学生の生徒の皆様とキハダ植樹体験学習を行いました。『未来へつなぐ』をテーマとし、34名の参加者と百草、百草丸、生薬、キハダや森林のことを学習し、キハダ苗木を76本植樹しました。百草、百草丸を通して見ると、木曽には豊かな森、土、水、そして自然の恵みを用いて健康を維持する先人の暮らしの知恵や経験など、多くの宝物があることが分かります。これらを、ともに未来に継承していきたいとの願いを込めて開催しました。子どもたちの元気な挨拶、学習中の真剣な表情やノートを取る鉛筆の音、生薬の苦みや香りへの驚き、そして懸命に植樹に取り組み、はつらつとした笑顔を見せてくれたことが大変心に残りました。また、村の生涯学習事業であるもいちど小中学生の皆様も、子どもたちを見守りながら、学習、植樹に参加し、質問や懐かしいお話を聞かせていただきました。参加者の皆様から大きな力をいただき、社員一同、良い薬づくりにかける思いを新たにしました。
さて、今年のキハダ苗木は、弊社本社に生育している樹齢40~50年のキハダの「子ども」です。2021年秋に社員が協力してキハダの実を収穫し、育苗農場の方にお預けし、取り出した種から昨年一年間で立派な苗木に育てていただいたものです。命は巡ることを感じます。
弊社は、キハダの大切な命をいただいて毎日の薬づくりを行っています。自然の恵みへの感謝を社員一人一人が忘れることなく、天然の生薬の良さを活かした薬づくりに努めること、薬効のあるキハダの樹皮のみならず、材、枝、葉、実を余すところなく利活用すること、更に微力ながら森林と林業の維持発展に寄与することを目指し、今後も研鑽してまいります。
日野製薬株式会社
代表取締役社長 石黒和佳子
【5月2日キハダ植樹・フォトギャラリー】
早朝の準備風景。重い鍬を持って斜面を登っています
今回植樹したキハダ苗木は、本社のキハダの子どもです
専門家の方々から班ごとに植樹方法をご指導いただきました
苗木を一本一本一生懸命植えました
植樹したばかりの苗木です。大きく育つことを願います
本当に多くの方々にご協力いただきましたこと、有難く感謝しています!
【5月16日キハダ植樹体験学習・フォトギャラリー】
木祖小学校5年生の皆さんです。休憩時間に生薬の香りをかいだり手で触ったり興味津々です
5年生の仲良し3人組
「もいちど小中学生」の皆さまにもご一緒に参加いただきました
植えた苗木に「土のふとん」をかけています
穴を掘るのが一苦労でしたが真剣に取り組んでくれました
重たい鍬を持って一生懸命植樹してくれました
多くの方々にご協力をいただき心から感謝しています