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薬草の花

カワラナデシコ(河原撫子)【9月】

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※カワラナデシコの花期は6月~9月です
秋の七草のひとつ、優美な花姿
(写真①:花弁の先は糸の様に細かく切れ込む)

カワラナデシコは日本に古くからある植物で、昔は単にナデシコと呼ばれた。カワラは山地ばかりではなく、川原や砂れきの多い堤防などにも多く自生することを意味している。県内では乾燥した里山でよく見かけ、長野県内では七月中旬にはこの花は開花する。

夏の夕方、 いつもの散歩道でカワラナデシコを見た。タ闇の中で咲くカワラナデシコの花は優しげで、「やまと撫子(なでしこ)」 の語感にぴったりであった。花弁は全体に繊細な切れ込みがあり、まさに芸術作品である。この構造は花を大きく見せて虫たちの目に止まりやすくする工夫なのだろう。同じ特徴はカラスウリやオオシラヒゲソウなどでも見られ、前者は夕方から夜にかけて開花し、どちらも花弁の色は白い。カワラナデシコの淡いピンクの花は、夕方見ると周囲から浮き上がって見える。いずれも、昼間の蝶より夕方の蛾の到来を期待しているのではないだろうか。

漢方薬としては、中国原産のセキチクが広く使われる。日本産のナデシコとともに、花期の全草を「瞿麦(くばく)」、種子を「瞿麦子(くばくし)」と呼び、日本ではおもに瞿麦子が使われる。消炎、利尿、通経薬として、水腫、尿不利、血尿、腎炎などに用いるが、瞿麦子を多量に用いると流産する恐れがあるため、妊婦には使わない。かつては妊娠中絶薬として利用されたこともある。



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(写真②:日当たりの良い河原や原野に群生する)


成分は全草、および根にサポニンを含んでおり、加水分解でトリテルぺノイドのギプソゲン酸を生じる。少量のアルカロイドも含まれるという。

Dianthus superbus var.longicalycinus ナデシコ科ナデシコ属 別名●ナデシコ、ヤマトナデシコ 生薬名●瞿麦子(くばくし)

【ミニ図鑑】
ヤマトナデシコとも呼ばれた。日当たりの良い河原などに時に大群落をつくる。 

▶花期 六~九月

crude_drug_240901_kawaranadeshiko_3.jpg(写真③:ユキノシタ科のオオシラヒゲソウ)


出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


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