生薬の話
「冷え」について
非常に強い台風10号が発達しながらゆっくり北上しているとのことです。そのせいか、時折雨が降り、昨日から暑さも和らいでいますが、身の安全を第一にこの週末を過ごしたいものと思っています。
皆様もくれぐれも大禍なくお過ごしくださいますようお祈りいたしております。
「冷え」について
今回は「冷え」について記述いたします。当社には「冷えのための体調不良に普導丸(ふどうがん)を服用したい」「冷え性に普導丸は効きますか」とのご質問が寄せられます。その方の症状によって返答は一通りではないのですが、
普導丸は冷えによって引き起こされる、めまい、吐き気、気分不快、胃の不快感などの症状の予防又は緩和に役立ちます。不快な症状のある時に服用して下さい。
東洋医学では、冷えることが「気血水」の滞りを招く要因の一つと考えられていますが、普導丸には体を温める生薬のトウキ末、センキュウ末、ケイヒ末、ショウキョウ末を配合しており、そこに胃腸の調子を整える生薬のオウバク末、ガジュツ末、胃腸を温めてくれるウイキョウ末を配合しています。冷えによるめまい、吐き気、気分不快、胃の不快感などの兆候があるようでしたら、早めに多めの白湯又は水で普導丸を服用し、静かに様子を見てください。手足やお腹や腰を冷やさないようにすることも大切です。
また、東洋医学では、あらかじめ病気になりにくくするための予防が何よりも大切と考えられています。冷え性の方は、過労や睡眠不足を避け、心身のリラックスを心がけ、小まめに水分を補給し、体操やウォーキングを生活に取り入れ、冷えないように心がけることも大切です。
冷えによる不快感があまりに激しいようでしたら、医師、薬剤師、登録販売者に相談されることをおすすめします。
と、上記を代表事例とし、お客様お一人お一人の体調に応じて対応するようにと考えています。
東洋医学における「冷え」
東洋医学では「冷え」は、あらゆる病態(病的状態)から生じるため、非常に重要な病気として考えられています。冷える時には温める薬を、気のめぐりが悪い時はそれを改善する薬を、血行が悪い時は血行を促す薬を、代謝の低下の時はそれに適した薬をというように、薬物(漢方・生薬製剤)を用いて冷えのタイプに応じて薬を処方します。東洋医学では「冷え」を病気と診断するからです。
一方、西洋医学において「冷え」は、病気とみなされず、確立した治療法がありません。
東洋医学と西洋医学では「冷え」に対する考え方が異なっているのです。
さて、冷えの原因はさまざまですが、
①自律神経の乱れ
②血液循環の悪化
③筋肉量の低下
④食生活の乱れ
⑤ホルモンバランスの乱れ
等があげられ、冷えを改善する漢方薬として、
温経湯(うんけいとう)、当帰四逆加呉朱臾生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)等が用いられています。
*温経湯:経路を温める薬の意味。寒冷刺激が持続し経路が障害されているものに使用
温経湯(うんけいとう)には、普導丸と同じ、トウキ、センキュウ、ケイヒ、ショウキョウが配合されています。
*当帰四逆加呉朱臾生姜湯:寒冷刺激によって誘発される月経痛、頭痛、腰痛、各種不定愁訴等に使用
当帰四逆加呉朱臾生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)には、普導丸と同じ、トウキ、ケイヒ、ショウキョウが配合されています。
*当帰芍薬散:成人女性に使用され、体質は虚弱、血色が悪く、冷え性で、めまいがあったり、月経異常、月経困難症に使用。更年期から老化に向かう女性に多く用いられ、男性にも用いられ、広範囲に使用
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)には、普導丸と同じ、トウキ、センキュウが配合されています。
普導丸と「冷え」
「普導丸」には百草・百草丸に用いるオウバクを粉末にしたオウバク末を主成分に、センキュウ末、トウキ末、ガジュツ末、ケイヒ末、ショウキョウ末、ウイキョウ末を配合しています。気分不快・吐き気・めまい等が「冷え」によって引き起こされていると思われる場合には、普導丸を服用してみていただきたく思います。「冷え」による不快・不調の緩和や予防にお役に立つことができれば幸いです。
出典:花輪壽彦先生著『漢方診療のレッスン』
後山尚彦先生著『漢方医学入門』
高齢者の冷え性の原因と対策(matomedata.com)
※ランについて:咲き終わったランを株分けし植え替えたところこのように花を咲かせてくれました。部屋の中に置いて暑い時には弱めにクーラーを付けて声掛けをしたり眺めたりしています。