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薬草の花

クマザサ(隈笹)【9月】

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まれに開花、葉はお茶や薬草に
(写真①:茎(棹)の先に長さ2~3センチの紫色の小穂を出し、小花を付ける。シナノザサと思われる)


クマザサと聞くと、長野県の人はクマが出るような深山に生えるササを連想し、ある人は「根曲がり竹」、正確にはチシマザサをクマザサとも呼ぶ。しかし、植物分類学上のクマザサは京都府付近に自生し、全国的には庭や公園で栽培される種で、分布は限られている。冬に葉の周囲が枯れて、白色に隈取(くまど)られるため「隈笹」と命名された。しかし、ササの仲間、たとえば長野県内でも中南部に多いミヤコザサ、中北部に多いシナノザサ、所々に分布するチマキササでも冬には葉の先端や周囲は枯れる。
 

温帯の日本ではササの仲間に花がつくのは珍しいこととされている。周囲のササが広範囲に一斉に開花し、そのあと枯れるそうだが、近年は温暖化のためか、まばらに開花した状況をよく目にする。


薬草としては先にあげた種のすべてが利用される。ササの葉に包むと食べ物が長持ちするといわれるが、これはササに含まれる安息香酸の殺菌・防腐作用に由来する。葉にはリグニン、鉄、カルシウム、各種ビタミン類が豊富に含まれ、胃潰瘍、胃炎、ロ内炎などに使われる。生の葉をミキサーにかけたり、乾燥した葉を焙じて、お茶代わりに飲むこともされる。

食物を笹の葉で包むことは、 よくされ、笹飴、笹餅などか知られている。信州では下高井郡山ノ内町渋温泉の 「地獄谷のチマキ」がよく知られる。蒸したもち米を笹の葉に包んで、さらにふかしたものを、黄な粉(きなこ)をつけて食べる。また、飯山市では、ちらし寿司をササの葉の上に盛る「謙信寿司」が名物である。 いずれも、ササの葉の持つ保存作用を生かした利用法である。



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(写真②:冬には葉のふちが白く枯れる)



Sasa veitchii イネ科ササ属 別名・ヘリトリザサ

【ミニ図鑑】 タケ、ササ類の地上部の茎は棹(かん)と呼ばれ木質で中空

▶花期 五月~九月

crude_drug_230901_kumazasa_3.jpg(写真③:生葉は青汁に、乾燥した葉はお茶代わりに)


出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


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