薬草の花

ノアザミ(野薊)【7月】

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カラフルに草原や山野を彩る
(写真①:高原に咲くノアザミにはよくヒョウモンチョウ類が訪れる)


信州では初夏から秋まで、長期間ノアザミの花か楽しめる。葉には硬い刺があり触ると痛いが、赤紫色の花はいつ見ても美しい。そして、よくアゲハやヒョウモンチョウ類か飛来して吸蜜しているので、とりわけ昆虫写真家に愛される植物である。


アザミの語源に関しては、植物学、言語学の大家によると、古語の「痛む」とか「痛ましい」の意味をもつ「あさま」か転訛したものだという。さらに「あざむ」という言葉には、「驚きあきれる」とか、「興醒める(きょうざめる)」の意味があるとされる。花が良く似ているか葉に刺がないタムラソウにはアザミの名が付かない点からも、「アザミ」は「痛い」と関係があることか伺える。


キク科アザミ属の種はいずれも山菜としてよく食べられる。ちなみに、観光地の名産で漬物として売られている「ヤマゴボウ」はモリアザミの根である。そして、飯山地方の蕎麦のつなぎに使われるヤマゴボウは、正確にはキク科ヤマボクチ属のオヤマボクチである。アザミ以外にもキク科の植物には有毒植物はないので、たいていは食べられる。

crude_drug_202007_noazami2.jpg(写真②:飯山地方でソバのつなぎとして使われるオヤマボクチの花)


ノアザミの全草あるいは根は、生薬「大薊(たいけい)」であり、日本市場では「アザミ根」と称して販売される。大薊には清熱冷血、止血作用があり、鼻血、喀血、血便、血尿などに用いる。成分には精油のほかにフラボノイド配糖体か含まれる。近年、フラボノイドは、生体に有害な遊離基 (フリーラジカル) を排除する作用が注目されていることは読者もご存知のことと思う。

Cirsium japonicum  キク科アザミ属 別名●アザミ、ハルアザミ  生薬名●薊(ケイ)
【ミニ図鑑】 アザミ属の仲間には大型のフジアザミやオニアザミをはじめ、数十種類近くあるとされる
▶花期 五~八月

crude_drug_202007_noazami3.jpg(写真③:タムラソウの花。アザミ類とよく似ているが別属)

出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)

   市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


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