薬草の花

ドクダミ(毒矯み)【7月】

独特の臭気、よく見れば美しい花

ドクダミという名前もさることながら、じめじめした日陰を好んで生育し、近づけば決して芳香といえないその匂いから、この植物はあまりよいイメージはない。しかし、花をよく見れば、十字に開く純白の苞の中心から黄色い花穂がすっと伸びていて、そのスマートさは今まで持ってきた認識を改めさせられる。梅雨のさなか、雨に打たれてひっそりと咲く姿は気品さえ感じられる。

名前はドクダミでも別に毒草ではない。その名の持つ意味は、「毒を矯(た)める」(直す)だそうだが、独特の臭気からの「毒を溜める」説や、古くから民間薬として使われて痛みや毒に効くことからの「毒止み」説なども伝えられている。

ドクダミは民間薬として古くから利用されてきた。刈り取って干したものをお茶代わりに飲んで、高血圧、動脈硬化の予防、利尿、むくみの除去に使う。独特の匂いの成分は抗菌作用があり、生葉をもんですり潰したものを皮膚病に使ったりもする。市販のドクダミ茶を飲んでみると、あの独特の匂いはほとんど気にならない。臭気成分は脂肪族アルデヒドで乾燥すると揮散して消える。他の成分としては、フラボノイド配糖体が知られている。ドクダミ-2b.jpgドクダミ科の植物は軟組織中に油細胞があり、それが葉の臭気と関係しているのかも知れない。ハンゲショウ属とドクダミ属があるが、いずれも一属一種である。ハンゲショウは開花時に上部の葉が白化するためこう呼ばれる。水辺に多いとされるが、県内では栽培種以外はほとんど見かけない。それに対してドクダミは県内に広く分布する。ドクダミ-3b.jpg

Houttuynia cordata ドクダミ科ドクダミ属 別名●ジュウヤク 生薬名●十薬

▼花期 六~七月

【ミニ図鑑】古くから民間薬や生薬、お茶などに利用されてきた多年草。やや湿った地に群生する

出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
   市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)