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薬草の花

ジギタリス【7月】

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園芸用にも。主要な心不全治療薬
(写真①:花色は白・淡赤紫・肌色など多彩)

ホタルブクロに似た美しい花を咲かせるヨーロッパ原産の園芸植物で、民家の花壇に植えられているのをよく見かける。
花は赤や赤紫色で、日本のホタルブクロに似ている。

この植物のラテン語の属名がジギタリスで、花冠が西洋で裁縫に使う指袋と似ていることからこう名付けられ、指と関連のある言葉である。

ところで、コンピュータの技術をディジタル技術と言うが、ディジットは英語では指のことで、指を一本、一本立てたり折ったりして数を数えることを意味し、日本のドイツ語読みではジギットと表記され、同じ語源である。



薬理学的にも重要なジギタリス

植物のジギタリスには重要な薬効がある。葉を速やかに乾燥させたものが生薬「ジギタリス葉」で、強心剤と知られている。

精製したものがジギトキシンやジゴキシンで、それらからさまざまな化合物が合成され、現代医学では盛んに使われる。
ジギタリスの強心作用は心筋に直接作用して心臓の収縮力を高め、心拍数を減少させるため心不全の治療に使われる。
この植物は古くから多くの心不全の患者を助けてきた。
薬理学的にも重要で、現代医学の進歩にこのジギタリスの果した役割ははかり知れないものがある。

crude_drug_170719_digitalis_2.jpg(写真②:高さ1メートルほど。園芸品種として人気が高い)

治療に使うには医学的な知識が必要です

成分は強心配糖体と呼ばれる独特のステロイド配糖体で、他にサポニン類、フラボノイド、モノテルペンなどが見出されている。

ジギタリスの強心配糖体は、有効量と中毒量の幅が狭く、さらに長期間連用すると体内に蓄積されるため、使用方法は医学的な知識が必要である。そのため、手軽にジギタリスの葉を心不全の治療に使うことはできない。



ゴマノハグサ科ジギタリス属(Digitalis L.)

別名:キツネノテブクロ
生薬名:ジギタリス
花期:六〜七月
【ミニ図鑑】心臓疾患には重要な薬の原料。しかし民間使用は厳禁


crude_drug_170719_digitalis_3.jpg(写真③:ジキタリスと似たホタルブクロの花。しかし科も属もまったく異なる)


出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)

   市川董一郎(著)栗田貞多男(著)


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