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薬草の花

ショウブ(菖蒲)【6月】

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懐かしい菖蒲湯の匂い
(写真①:初夏に咲く地味な花。よく見ると同じサトイモ科のミズバショウなどの花序に似ている)

六月初旬は長野県では月遅れ端午(たんご)の節句にあたる。このころに開花するショウブは、ヨモギと束ねて湯船に浮かべて、子どもの健康を願う菖蒲湯に使われる。湯船につかりながらショウブの切り口を嗅ぐと、かぐわしく爽やかな匂いがして心か安らぐ。ショウブは県内でも日当たりのよい湿地に広く生育するが、家のまわりの用水路などに植えられているのをよく見かける。

ショウブは葉の形状から、アヤメ科の植物と思われがちだが、花の形を見れば全く別の科であることはうなずける。もともと、ショウブの花は地味でごく目立たないため、花の咲かないアヤメの仲間と思っている人が多い。しかし、初夏にショウブの根元をよく観察すると、アヤメとは全く形状が異なる花を見ることができる。花の基部から斜めに延びる苞葉の存在や、肉穂花序の形状からサトイモ科の植物であることが分かるだろう。

一方、アヤメとショウブを呼び名だけで判別するのは難しい。アヤメ科にもキショウブや園芸種の花菖蒲といった「ショウブ」の名前のついた植物があり、これらはいずれも水辺に生え葉の形は長い剣状である。ショウブの根茎を「菖蒲根(しょうぶこん)」と呼び、芳香性健胃薬、去痰、止瀉薬として、腹痛、下痢、てんかん、リウマチなどに用いられる。成分はアサロン、メチルオイゲノールなどの精油成分である。精油の芳香が薬効をもたらすと考えられる。


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(写真②:細く直立したショウブの葉)

Acorus calamas サトイモ科ショウブ属 別名・ソウブ、アヤメグサ 生薬名・菖蒲根(しょうぷこん)
【ミニ図鑑】 ショウブはサトイモ科で花は目立たない。一方、ハナショウブはアヤメ科で花はカラフル

▶花期 五月~七月

crude_drug_230601_shoubu_3.jpg(写真③:カラフルなハナショウブ園。花色も白から紅紫まで多彩。)


出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


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