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薬草の花

サルトリイバラ(猿捕茨)【4月】

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※サルトリイバラ(猿捕茨)は4~5月に花を咲かせます。

根茎は解毒・消炎・利尿に
(写真①:大きな葉と隠れるように咲く小さな黄緑色の花)

「猿を捕る茨(いばら)」とは不思議な名前だが、茎に生えた小さな刺を表現して名付けられたのだろう。別名の「山帰来」(さんきらい)も趣があってよい名前だが、実はこの呼び名は中国産の刺のないケナシサルトリイバラのことで、私たちが普段目にするのは正確には「和山帰来」(わさんきらい)である。乾いた明るい山野に多く、木々にからみつきながらたくましくつるを伸ばし、厚みと光沢のある葉を茂らせる。夏の花は地味だが、晩秋、葉が枯れて萎れてしまうころに、赤く熟した液果か山野で明るく目立つ。この果実もいずれ、初冬には小鳥たちに食べられ何処かへ運ばれていく。


生薬名では中国産のケナシサルトリイバラの根茎を「土茯苓」(どぶくりょう)と呼び、日本種の「筏藜」(ばっかつ)と区別するが、成分や薬効には大きな差はないようだ。漢方では「土茯苓」や「筏藜」は解毒、消炎、利尿薬として、今のような抗生物質が手に入らない時代には梅毒や淋病の治療に用いられた。成分はスミラックスサポニンやフラボノイド配糖体のほかに多量のデンプンが含まれているが、有効成分は明らかにされていない。


サルトリイバラはユリ科シオデ属のつる性樹木で、若芽は春の山菜に、葉は餅を包むのに用いられる。よく似た仲間にヤマガシュウがあるが、こちらは秋に実る液果が藍黒色である。また、草本のシオデを含めて、これらの若芽は山菜として知られる。特にシオデは成長が早く、春につるをぐんぐん伸ばし、柔らかい茎と先端の若葉は美味しい山菜になる。


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(写真②:果実は直径1センチ足らず。秋には真っ赤に色づく)

Smilax china
ユリ科シオデ属
別名 サンキライ 生薬名●筏藜(ばっかつ)
【ミニ図鑑】漢方薬の主要原料の茯苓(ぶくりょう)は、マツの根に寄生するサルノコシカケ科の菌類。

▶花期 六~七月

crude_drug_230401_sarutoriibara_3.jpg(写真③:同属の草本シオデ。春の若芽は山菜として)


出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


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