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薬草の花

ハコベ(繁縷)【3月】

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塩と混ぜれば「歯磨き粉」

(写真①:直径5ミリ足らずの白い小さな花。地面を這うように育つ)


畑の草取りをちょっと怠ると、あっという間にはびこってしまう嫌われ者だが、子どものころウサギを飼っている友達から「餌はハコベが一番」と聞いた。そして、鶏の餌にもよく混ぜられた。草丈はせいぜい三十センチ、茎や葉は軟らかく、花も小さくて全く目立たない。そんな地味な植物だが、春の七草でもあり、昔から親しまれてきた植物である。ナデシコ科ハコベ属の植物は、何々ハコベ・ツメクサ・フスマと呼ばれ、いずれも白色の可憐な花を咲かせ、平地から高山まで広く分布する。


ハコベ、ミドリハコベの開花期に採取した全草は、生薬の「繁縷(はんろう)」である。あまり一般的ではないが、動悸や息切れの薬、あるいは催乳薬、胃腸薬として知られる。それより、茎や葉を乾かしたものを擦りつぶして、塩と混ぜた「はこべ塩」が有名である。はこべ塩は古くから歯磨き粉として、今日でも歯茎の出血や歯周病の予防に用いられる。欧米ではパップ剤や軟膏として皮膚化膿症や潰瘍の治療に使われる。


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(写真②:茎を引っ張ると管束が表れる)


ハコベの名の由来は中村浩博士が詳しい。それによれば、中国名の繁縷がそのまま日本語になったのではないかという。ハコベの古名はハコベラであり、べラは古語で「群がる」の意味であり、繁(はん)の直訳である。縷(ろう)は帛(はく)と同義語で、「綿布の精美なるもの」を表す。ところで、ハコベの茎を強く引っ張ると、白い糸を引くように内部の管束が引き出される。管東は水や栄養が通る細いパイプであるが、それに中国では縷の字を、日本では帛の字をあてたようだ。


Stellaria neglecta

ナデシコ科ハコベ属  別名●ハコベラ、アサシラゲ
           生薬名●繁縷(はんろう)
【ミニ図鑑】最近は外来種のウシハコベが全県に繁茂するようになった
▶花期 三~六月


crude_drug_21001_hakobe_3.jpg(写真③:開花期に地上部の茎葉を採取する)


出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


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